ノーシス人類学
ノーシス人類学
       魔術の故郷エジプトの聖なる知識  
  タロットは目に見える世界と
       見えない世界のかけ橋だ!
                 
文・写真 ミゲル・ネリ   「学研ムーNo41号」掲載

タロット占いは、今日、非常にポピュラーなものとして知られている。だが、タロットの起源を知ると、それが単なる占いの道具で
はないことがわかる。タロットは古代エジプトの聖なる知識、すなわちトート神の伝授した秘儀がこめられているのだ。それはあ
らゆる神秘に通じる魔術の重要なキーとなる!



トート神の偉大な叡智がタロットの中に封じ込められた!

 
 エジプトは古代から華麗なる文明の花が咲き誇った土地である。そこから実に多くの実りがもたらされた。人々によく知られているものも、
また知られていないものも含め、エジプトは人類の実りの地といえよう。そのひとつに「タロット」がある。
 
  タロットーTAROTと言う言葉は、2音節からなるエジプト語から派生し、TA=心理、ROT=道、すなわち「真理の道」の意味を持つ。
 
  神々の書記とも、文字と言葉の神とも呼ばれるトート神の、聖なる書の教えを写したものが、タロットの起源である。 『トートの黄金の書』
と呼ばれた78ページからなるその本は、黄金の箱に保管され、厳重に封をされてから、銀の箱に入れられ、この銀の箱は象牙の箱に、象
牙の箱はブロンズの箱に、ブロンズの箱は銅の箱に、銅の箱はさらに鉄の箱に入れられ、最後にナイルの川底に安置された、という話が残
されている。
 

  このトート神は、のちにヘルメス・トリスメギストス(三重に偉大なの意)とも呼ば
れた、天文学と占星術の発明者、数の科学と幾何学の発明者、医術と植物学・
魔術のマスター(導師)、文学と文字のマスター、神聖な知識のすべての分野の
著者、『エジプト死者の書』の著者とされている存在なのである。
 
  トート神ははそれほどの知識を人類に伝えるために、シンボルと数にそれらをま
とめ、アルカナ(秘密、秘義の意)としてヘリオポリスのイニシエートたち(奥義に通
じた人々)に伝授した。たとえば、ヘブライの偉大な族長モーゼは、そこで教育を
受けている。
          
      えいち つ
 こうしてエジプトの叡智を継いだヘブライの司祭たちは、タロットの秘密の理解
をたやすくするためにへブライ語の22文字と関連づけ、また1から10まてのアル
カナをカバラ(ヘブライの叡智の伝統)の生命の樹(10のセフィロト)と関連づけ
た。

  すなわち、1をケーテルであるところの日々の長老または王冠と、10をマルクッ
トの王国と言うふうに。

↑偉大なるエジプトは魔術の故郷でもあった。神秘のタロットも、
  この地に花開いた魔術の実践のひとつだ。

   叡智の伝達−その究極の目的は、人間ひとりひとりの理解と
意志に基づいた努力を通して、魂の起源−聖なる父のもとへの
帰還の道と方法の伝授にほかならない。

   エジプトでは、そのための手段のひとつとして、目に見える世
界と目に見えない世界のかけ橋としてしての魔術が教えられた。
 
 そして最も固く重い表現としての肉体と、反対に最も純粋で創
造的な魂との間を10の部分に分けた。それらもまた1から10の
アルカナと関連している。(次ページの表を参照)
 
  こうしてタロットは次の二つの形で用いることができる。

1.合理的な数の科学−宇宙の秩序とそれに対応する人間の
   内面のプロセス

2.魔術−目に見えない次元とのコンタクト、神々からのメッセ
   ージとインスピレーション
 
  このタロットなくして、歴史に残る偉大な魔術師たちも、決して
自然界のコントロールや、神秘の中に浸透することはなかっただ
ろう。

  このようにタロットの起源を考える時、改めてエジプトの神秘
に目を見張らされるのだ。


古代エジプトは魔術文明の地だった

  偉大なるエジプト。エジプトの神秘ははかりしれないほど深
い。その広大な知識を認識するために、エジプトの魔術性を現
す3つの謎について、ここで簡単にふれてみよう。
 
まず、ミイラ作りは、なぜ、何のために行われたのか?

すべての神聖な知識のマスターであるトート神(中央右の記録をしている人物)。

『トートの黄金の書』はナイルの川底に安置された。

  近代の科学者達も、いわゆる「冬眠」による肉体の保存を試みている。カプセル内で肉体を冷凍保存し、半永久的に冬眠させようとするも
のだが、いまだに望ましい結果は得られていない。
それに比較して古代エジプトでは、技術的にもはるかにしのぐミイラ作りを実践しただけ
でなく、単なる有機体の保存と言う物理的な目的以上の、形而上的効果も持っていた。 

             
                               
                               
カバラの神秘体系を象徴する生命の樹の図。

 ミイラはファラオの肉体の死と、死後の永遠なる霊魂の生活とをつなぐものなのである。それゆえ、本来、エジプトのミイラ作りは、古いエジ
プト王朝のイニシエート・ファラオにのみにほどこされるものであったのだ。その時代、それ以外の人々は火葬にされた。なぜなら、イニシエ
ートでない肉体の死体を大地に埋めることは、大地をけがすものとされたからである。
 
  ファラオの肉体は、死にいたる前なら、内臓を取り出すこともなくそのままミイラ化され、死後の肉体なら、よく知られているように内臓や脳
は抜き出され、溶液に浸して壷に保管された。ファラオの肉体がミイラ化される際、棺の外に出る霊と魂を助ける儀式が行われる。こうしてフ
ァラオの霊魂は、自分の肉体を保存しながらその外に出ていく自分を知り、ちょうどアストラル・プロジェクション(幽体離脱)のように、そのプ
ロセスを、意識をもって見ていたのである。

↑エジプトのミイラは本来、イニシエート(奥義に通じた人)たちの秘義の結果であった。しかし、時代を経るにつれ、そうした高次の
  プロセスは忘れられ、にせのミイラが多く作られた。

   こうして肉体を離れたファラオの霊魂は、新たな別の国、別の時代に、
別の肉体で転生し、宇宙プログラムにのっとった使命をはたしながら、自
分の肉体(ミイラ)がエジプトに保存されていることを知っている。
 
  ファラオたちの多くは、いろいろな時代に人々を導くリーターとして、また
優れた科学者、芸術家として生まれ変わったが、使命を全うしたあかつき
に、エジプト時代の肉体を回収できることを知っていたのである。
 
  これが今まで発見されたエジプトの棺のうち、完全に密封されたまま発
見されたにもかかわらず、その中から75パーセントのミイラが消えている
理由なのだ。
 
  彼らはなぜファラオの肉体を保存したのか?理由の一つは血である。
実際、ミイラの中から現在地球上に現存しない血液型が発見されている
が、古代の血液は混血や遺伝的な汚染を通っていない純粋な血であり、
それはイニシエーション(奥義参入)の道を進む上で、大変重要な要素な
のだ。
 
 のちの退廃した時代には、イニシエートでないファラオも祖先をまねて
ミイラにされたが、そこでは本来のミイラ化の意義は失われた。
 
  我々が知っているミイラの大部分は、こうしたにせのミイラであり、神秘
的プロセスを経ていないものなのである。
 
  2番目の謎として、ピラミッドに使われた数百万個の石塊を、どのように
して運んであれほど正確に組み立てられたかということがある。

  これらの石塊は2トンから7トンの重さがある上、ナイルの上流750キロ
のアスワンから運んだとされる。
 
  チベットやインドでは何千年も前から空中浮揚を実践していたが、古代
エジプトの人々も「エネルギー」を、そのすべての形態で熟知し操作するこ
とを知っていた。
                                
  物理学では物体と物体の間には、相互に影響し合う傾向−引力または
斥力
(せきりょく)があると教える。この引力がすなわち物体の重量を生じさせ
る。

  しかし、エネルギーの中和点において、この引力の作用は終わるので
ある。このような知識とある技術によって、何十トンもの石塊を浮かべるこ
とが可能になる。

  ある技術とは、エジプトのマントラのパイプレーションとメンタルエネル
ギーのコントロールに関連している。
 
  そのうえ、古代エジプト人たちの魔術−自然界のカのコントロールの知
識も忘れることはできない。ピラミッドの建造に、こうした魔術のカが利用さ
れたことは明らかである。
  
  さて3つ目の謎として、どこから、あるいはどのようにして、大量の金を手
に入れたかということがある。
 
   記録によれば、古代エジプトでは年間500キロの金の収入があったと
されるが、どこからものかは知られていない。スーダンの金鉱でさえ、年
間500キロしか産出できなかったのだから、この量がいかに莫大なもの
か想像できる。

   特にアメンホテップ王朝の時代、黄金の量は更にふえ、考古学者の間
でもその産地が謎とされている。

   ミイラの棺
   ↓ミイラの臓器を入れるための壷。

   鉱山から掘り出される金でない黄金ーその秘密のキーは錬金術
にある。卑金属を黄金に変える術ー性魔術と呼ばれる、性エネルギ
ーを消耗せず体内で昇華して黄金の霊体を形成する術のことだ。                 
  古代エジプトにおいては、コンスー神が男根崇拝と性信仰のマス
ターとして、その神秘を伝える存在だった。

  カルナック神殿の一隅にあるコンスー神の寺院の「奥義の間」では、
「神聖なる性」の神秘が伝えられ、呼吸法とマントラ、そして想像力を
伴って精気を消化させ、背骨に沿って胸とハートに上昇させる術が教
えられていた。

 こうしてそのエネルギーは松果腺ー霊への扉、エーテル体・アスト
ラル体との接点を通して霊体を包み、魂の黄金の寺院である霊体を
形成してゆくのだ。
 
   このような性魔術−錬金術を通して得られる成分は「生きた金」と
いって、鉱山などから産出される「死んだ金」である金とは異なるもの
である。

   すなわち生きた金が1グラムあれば、多量の卑金属を金属にする
ことができるのだ。                                                                                                      
 

  大アルカナは無限の叡智の源泉!


   古代エジプトの偉大な叡智とは、このように魔術の教えでもあった
のだ。その叡智が現代にまで伝えられたのは、前にも述べたようにト
ート神のおかげによる。

  古代エジプト人たちが「聖なる言葉の主」と呼んだトート神は、偉大
なる白魔術のマスターでもあった。
 
   そして彼の伝える叡智はエジプトを後にし、ジプシー(エジプシャン)
と呼ばれる特別の人々によって世界各地に伝えられることになる。彼
らはそれをカードに写し、未来を読んだり、また、魔術の実践を通して
知識を伝達していったのである。
 
  初めに述べたように、タロットにはこうした奥深い叡智の背景がある
のだ。それはまさに白魔術の一つの実践であり、目に見える世界と目
に見えない世界のかけ橋であることが理解できるだろう。

     ↑ピラミッドの建造は現代でも解けない謎だが、そこには魔術
       の働きがある。

     ↓エジプトの最も有名な遺産である「黄金のマスク」と「黄金の
       玉座」。錬金術のたまものか?

   さて、こうした偉大なトート神の叡智が込められたタロットカードの表現法は、普遍的なシンボルを使い、花、動物、人物などのいろいろ
な形と表現で宇宙の摂理と概念を簡潔に伝え、言語の必要なしに理解することができる。
 
   そして、秩序正しく累進する数によって、全体の体系が成り立っている。そのうち、22までの数は大アルカナと呼ばれる56枚のカード
も22の大アルカナから派生しており、タロットカードは合計78枚を一組とする。ここでは22枚の大アルカナを使い、内的な開発のため、
無限の叡智に浸透するため、そして個人的な相談をするためのキーとして、タロットの操作方法をお教えしよう。
 

↑カルナック神殿はエジプトの遺跡の中でも最大のものの一つだが、古代、そこでは性エネルギー昇華法による白魔術が行われていた。特にコンスー神
  の寺院(左)は、性信仰で知られるように、性の神秘を司るセンターでもあったようだ。

  22という数は、一見少なく見えても無数の組合せが可能てあり、
1,124,000,727,607,680,000のそれぞれ異なった意
味を持つ組合せができる。 

  これらの解答がわれわれの潜在意識に与えられることにより、
それがマインドに伝えられて表面化してくるのてある。
 
  それではこれから、トート神、ヘルメス・トリスメギストスの叡智
に浸透し、それを自分の内部によみがえらすために、タロットの
神秘の扉をあけてみよう!

    タロットカードを使う街頭占い師に未来を聞く。