人生で勝利を

           治めるために

         
 
 
ノ ー シ ス 入 門
                          
   
ミゲル・ネリ(機関誌ノーシス7号より)
 
              

「ノーシス」とは何か

 「ノーシスとはいったい何でしょうか」
こういう質問をよく耳にします。そこで今日は 「ノーシス」についてお話ししたいと思います。

 「ノーシス」とはギリシア語で、叡智という意味であることは、みなさんよくご存知だと思います。現代的にいえば、
ノーシスとはたいへんダイナミックな智識であり、そしてたいへん自由なものであるといえるでしょう。
 
  ノーシスは私たちひとりひとりが、宇宙の普遍的な教育を、段階的に網羅していくことを可能にします。ここでい
う教育とは、いわゆる学校教育ではなくて、もっと基本的な、人間として生きていくために必要な教育のことです。
学校教育では教えない部分を補足する教育といってもいいでしょう。
 
  学校数育という面からみるなら、日本は世界でも学生たちの知能が高い、IQが高いので有名です。また義務
教育のほぼ100パーセントに近い普及によって、世界でも秀いでた国になることができました。経済的にはもち
ろんのこと、社会的、文化的にも高い水準を持っています。
 
  私は日本のちょうど裏側、地球の反対側にあるメキシコからやってきました。ですから今、世界中のいろいろな
国々、西洋でも中東でもアメリカでも、人々の目は日本にそそがれていることをよく知っています。しかしこれだけ
の成功をおさめていながら、まだ不足しているものがあります。それは先に申しました学校数育以外の教育、いう
なれば魂に関する教育とでもいうものです。

  今日みなさまがここまで足を運ばれたのも、何かを求めておられるからだと思います。何かを探しているのでし
ょう。ノーシスはその答えを与えることができると思います。

  さて、みなさんは学校や勤務先などで専門的な職業について学び、それを自分自身でさらに開発、発展させて
いきます。それらの知識は、私たちが今住んでいるこの社会で役に立つ存在となるために有益なものです。しか
しながら、そういった知識とは別の、大学でも教えることのない、たいへん深い智識というものが存在します。それ
をこれからお伝えしようというわけですが、それによってみな、さんは、人間として調和のある成長ができることと
思います。それがノーシスです。

ノーシスはキィとなる知識

  ノーシスとは、智識、知ること、という意味があります。すなわちこの智識をキィとして、生まれてから現在に至る
までに学んだ知識、さらにこの現生だけでなく、多くの転生を積み重ねて学んできた知識を、さらに開発していくこ
とができます。ですからノーシスを学ぶことで、みなさんが心の奥底に秘めている多くの記憶というものが、よみが
えっていくでしょう。そして人生の真実の前に、大きく目を見開いていくことと思います。

  ノーシスはこの人生の中で真の意味での勝利と成功をおさめるための、助けとなるものです。またこの人生だ
けではなく、死後の世界においても役立つものです。総括された智識ですから、一週間に一度講義をうければ充
分です。ノーシスは組織ではありません。宗教でもなく、宗派でもありません。また商業的な企業でもありません。
これは人類が存在の目的を達するようにと与えられた、自由な知識なのです。

  そしてこの智識は段階的にすすんでいきますが、大きく分けると五つの段階に分けることができます。ちようど
五つの点をもつ星、五芒星のように五つの段階に分かれています。
第一段階は
自分について知ること


  まず第一段階、この段階は自分自身について知るという段階です。
私は誰なのだろうか。どこからやってきたのだろうか。何のためにこ
の世界にいるのだろうか。どうして結婚するのだろうか。何のために
子供を持つのだろうか。
 
  そんな疑問は誰しもお持ちのことと思います。あるいはまた、哲学
的な問いばかりではなく、もっと表面的に見える、たとえばどうしてパ
チンコに行くのだろうか、ということにまで答えていきます。また次の
ような問いかけもあるでしょう。「どうして日本人として生まれたのだ
ろうか」「どうしてあの人に恋をするのだろうか」
 
  そのような自分自身に関する疑問を解決していくのです。同時に、
私たちが持つ超常感覚機能についても習います。超常感覚機能は
私たちの誰もが持っているものです。ただそれはつぼみのように潜
在しているので、花が開くためには栄養を与えてやらねばなりません。
また時間も必要でしょう。
 
  超常感覚機能を開発することで、テレパシーを持つことができます。
超視覚、超聴覚、また心の直観力を開発することもできます。どのよ
うに自分の世界がひろがっていくかがお分かりでしよう。
 
  さらには、私たち自身の内にたいへんな命のエネルギーがあると
いうことを発見します。東洋でいう気≠ニいうエネルギーですが、そ
れが私たちに生命力を与えます。このエネルギーは子孫をふやして
いく生殖のエネルギーでもあります。
 
  第一段階では、その命のエネルギーを私たち自身の中で行なわれ
る創造のために使うということを学びます。そうすることで私たちの脳
細胞を光輝かせ、眠りこけている脳細胞を活性化させます。自分自身
について知る、という第一段階のノーシスは、一週間に一度の参加で、
三ヵ月間を予定しています。



第二段階で外に目を向ける


  さて第二段階はどういうものでしょうか。第一段階で自分自身に
ついて知ることを学びましたので、次の段階は自分の外に目を向け
ます。すなわち人間の歴史と人類学を学ぶ段階です。
 
  たとえば、アステカやマヤの文明を築いた人はどういう人たちだっ
ただろうか。日本人の起源はどうだったのだろうか。日本民族の起
源については前縄文時代までは分かっていますが、それでは前縄
文時代の人々はどこからやってきたのでしょうか。

  エジプトの神秘はどこから伝えられたのでしょうか。中国の哲学は
どこから生まれたのでしょうか。アトランティスやムー大陸はどこにあ
ったのでしょうか。そしてみなさん自身と人類の歴史はどのような関
係があるのでしょうか。
 
 そういったことを自分が理解することによって、自分という存在と、
周囲の世界との関係が分かってきます。そうすると自分自身のカラ
の中に閉じこもっているのではなく、そのカラから外を見始めるよう
になります。ちょうどヒヨコが卵を割って、外の世界を見始めるような
ものです。
 
  そこまでいくと、自分のことばかり考えるのではなく、他人のこと
を考えるようになります。そうして第一段階で蓄積した知識を多くの
人々と分かち合うことができるのです。


第三段階は科学的・教育的
第四段階は社会的・国際的


  第三段階は教育的、科学的な段階です。というのは、それまで
学んできたことを自分自身で証明するために、多くの調査と研究
を始めるからです。同時に、自分が学んできた多くのことを他の人
に分かち与えていきます。だからこの段階ではカラから完全に外
に出て、社会のために活動し始めるということになります。
 
   そして第四段階では、社会的、国際的な段階に入ります。した
がって、抱く疑問も変化していきます。なぜ戦争がおこるのだろう
か。 どうしてアラブ人とユダヤ人は戦い続けるのだろうか。どうし
て日本はアジア諸国を侵略しなければならなかったのか。どうし
てアメリカとソビエトの間に摩擦があるのだろうか。

  ヒットラーはどのような人物だったのだろか。モーツァルトは人
類の中でどのような使命を持って生まれてきたのだろうか。どうし
てエチオピアで空腹があるのだろうか。そのようにもう自分のカラ
に閉じこもって自分だけの心配をするのではなく、ひとつの家族と
もいえる世界のことに興味を抱くようになります。

  もちろん興味を抱くだけではなく、その解決方法についても真
剣に考えるのです。この段階では、私たちの脳細胞はたいへん
活動的になっています。だから今この瞬間、自分がこうしている
瞬間に、世界中で起こっているすべてのことに関心を持っていま
す。

  日本人、あるいはメキシコ人というワクを超えた世界の市民と
しての活動を始めることでしょう。宗教に関していえば、一定の宗
教、宗派に捕らわれることなく、宗教そのものを理解します。芸術
に関しては、すべての芸術を開発するでしょう。ほんとうにクリエイ
ティブな、創造的な人物へと成長しています。

  ノーシス講座での勉強は、科学的見地から、哲学的な見地から、
芸術的な見地から、そして神秘的な見地から進められていきます。
みなさん一人一人は、今までの転生などの関係で特に相性のあ
る分野を持っています。それをはっきりと知って、自分が社会にも
っとも役立つように技術を習得したりできるでしょう。

  第一段階で自分に向けられていた目で観察したことを基礎とし
て、第四段階での社会のために役立つ人間になるわけです。そし
てまた第四段階でいえることは、視野がとても広くなっているため、
人間としてもスケールが大きくなるということです。

  そのときの関心は日本という小さな国にとどまらず、地球に住ん
でいるすべての住人にそそがれています。そうすると世界が小さく
見えるようになります。そこまでいってはじめて第五段階に入る準
備ができたことになります。



地球の外に目を向ける


  第五段階では地球の外に目を向けます。たとえば、金星ではど
んな生活がなされているのだろうか。火星人はどういう人たちだろ
うか。彼らはどのようなテクノロジーを開発しているのだろうか。ま
た、私たちとの関係はどうなのだろうか。

  金星のテクノロジーで現在の日本が何が利用できるだろうか。
地球外の住人たちの心理の面はどうなのだろうか。どうして彼ら
は戦争をしないのに、地球ではいまだに戦争がくりかえされてい
るのだろうか。

  このようなことを考えはじめ、多くの疑問を発するのです。つま
りこの段階では地球の外に視界を広げて、太陽系の住人の一人
としての自覚を持つわけです。そしてこの疑問に対する答を見出
すにつれて、私たちの心理的な洗練もすすむことになります。

  そうして私たち自身の心理の洗練がなされるにつれて、私たち
はこの人生に勝利をおさめていくのです。感情の奴隷、エゴの奴
隷であった自分が、それらから解放されていくにつれて、真の自
分自身の人生を歩み始めます。
 
  技術的な面の開発と芸術的な面の開発は調和をもってなされ
るものです。また物質的な面の開発と精神的な面の開発も同様
です。どちらかに片寄りすぎると調和を乱すことになり、私たちの
進歩の道もスムーズに進まなくなります。
 
  私たちに誤ちを犯させるもの、それは無知に他なりません。そ
してすべての面において私たちを解放させ、進歩を促すものは、
知識です。それがノーシスなのです。そしてこのノーシスを強力な
武器として、今までに述べた五段階を進んでいくことができるわけ
です。
 
  最初の三段階は、学んだことを生活の中で実用化していくこと
によって、九カ月で達することも可能です。四段階、五段階となる
と、三段階までが完全にできていなければ到達することはできま
せん。何ごとでも土台がしっかりしていなければ、すばらしい建物
が建たないのと同じです。
 
  ではこれから、第一段階について学びたいと思います。テーマ
は、私たち自身の神聖な起源、魂はどこからやってきて、そして
何ゆえに私たちはここにいるのだろうか、ということについてです。

  
             続  く
↑ノーシスの第1段階は「自分自身を知
  ること」。ちょうど卵の殻の中にいる状
  態。自分に関することを観察する。



↓メキシコにある超常感覚機能を開発
  するための学校の様子。手や足だけ
  で文字を読みとろうとしている。
↑縄文時代の土偶。日本の起源につ
  いては、まだたくさんの謎が残され
  ている。
↑中世ヨーロッパに盛んになった錬金
  術の寓意画。ノーシスの鍵で調査、
  研究することも可能である。


↓シャルル7世戴冠式のジャンヌ・ダル
  ク。わずか十代の少女がフランスを
  救った。彼女が果たした役割は歴史
  上でも奇跡的なことであった。
↑第5段階は宇宙的・コスミックな段
  階。常に宇宙的な視野を持つ。
  


↓太陽系には地球にしか生命がない、
  とされているが、はたしてそれは事
  実であろうか。下は金星の写真。