人生で勝利を

           治めるために

         
 
 
ノ ー シ ス 入 門〜後編〜
                          
   
ミゲル・ネリ(機関誌ノーシス7号より)
 
              

人類を導くマスターたち

  欲望、エゴの悪魔であるマーラーを退治することをゴータマ・
ブッダは教えました。そして崇高な魂をもった人間として生きる
ことを。

  日本におけるマスターでありイニシエイト(奥儀参入者)であ
る弘法大師空海は、その人生を人類のための献身に捧げまし
た。社会的な開拓を行ない、人の道を示しました。この弘法大
師の神秘についても、ノーシスを通して西洋でも教えられ始め
ています。
 
   有名な川崎大師には、深編笠をかぶり墨染めの衣を着た行
御姿の弘法大師像があります。その像の下にたくさんのわらじ
がかけられているのですが、お参りに来た人はそのわらじに水
をかけていきます。それは何を意味しているのでしょうか。

  それはかわくことのない歩みを、常に続けなければならない、
ということです。弘法大師はまさにご自身がそのよぅにして歩ん
で人生の真理を悟り、それをその時代に合うかたちで実行して
いきました。そして今は高次の存在の一人として、さらに私たち
の進化の歩みを助けてくださっています。
 
  このように私たちを導いてくださるマスターは、それぞれの民
族に存在しています。エジプトのイニシエイトたちもそうですし北
米のインディアンであるレッド・スキンにもそのようなマスターが
存在していました。そして彼らが、人生をよりよく生きるための叡
智、もっと正確にいえば、人生に勝利をおさめるための叡智であ
るノーシスを、人々に伝えたのです。
 
 そしてこれらの叡智を現代の人々に合うように近代化し、総括
したのが、もっとも最近のマスターであるサマエル・アウン・ベオ
ールです。やはり私と同じメキシコ人で、私はこのマスターに直
接ノーシスを教わりました。


  私が今こうして日本にきて、この智識をみなさんにお伝えす
るただ一つの目的は、みなさん全員が内面においても外面に
おいても、潜在しているすべての力を引きだして、創造的に使
うということを学んでほしいということです。

  重要なのは、私たち全員が、縛りつけられている無知の鎖か
ら解き放たれて、自由になることにあります。そして中心太陽か
ら宇宙空間を通ってやってきた輝く星であるすばらしいエッセン
スが、もう一度生まれ故郷に戻り、天で有益な存在となることが
できるように、ということです。
 
  私たちひとりひとりは一つの星です。そして現在はこの地球
にいます。このノーシス講座の目的は、この星がもう一度立ち
上がって、宇宙の中で役に立つ存在となる、そのための智識
を与えるということです。

 学校での勉強と平行して行なうことで、人間の社会でも、また
宇宙でも役立つ自分となることができることでしょう。

↑ゴータマ・ブッダ。仏教の祖。エゴ根
  絶の教えを人々に広めた。
  
↓川崎大師の大師像。

肉体・霊・魂

  私たちは基本的に、肉体と霊と魂から成るとお話ししました。それは一つの原子が陽子・電子・中性子か
ら成るのと同じことです。そしてそれはポジティヴな陽極とネガティヴな陰極、それに中性のエネルギーを持
っています。一つの原子はこの三つの力の原理から成り立っているのですが、その関係は私たちの三つの
要素においても同じことがいえます。
 
   魂とは、絶対太陽のもとからやってきた神聖な火花です。これがポジティプな極にあたります。では反対
の極、ネガティヴな極は何かというと、女性的な面ということになります。天の川を通るときに女性的要素が
与えられると申し上げましたが、それがネガティヴな極ということになります。このとき霊が与えられます。こ
の二つの結びつきの中に、中性の力が生まれるのです。
 
  中国の哲学である道教では、次のようにいっています。
  
  まず最初に「一」があった。そして「一」から「二」が生まれた。
  「二」からは「三」が生まれた。
   そして「三」からすべてのものが生まれた。

 
  すなわち創造がひろがって伝えられていくリズムがこれなのです。こういう言い方もできるでしょう。
 
   まず最初に一つの点がある。この点が常に円を描いて動いていく。点であるときは表現がなかったもの
が、動いていくことによって表現ができていきます。そして動いていく点が最初の点と出会うとき、そこに引
力と斥力、すなわち引きつけあう力とはねつけあう力がおこり、ある動きがおこります。
 
   この動きはやはり三つの力によるものです。引力と斥力、そして円自身の力ですが、それが創造をはじ
める力なのです。
 
   こうして一つの磁場が形成されたところで、直線を引いてみますと、この三つの力の引力、斥力、そして
創造の力自身の斥力によって三本の線がひかれ、三角形ができあがります。円の中に正三角形が入った
状態です。これが創造の基本のかたちなのです。


肉体は霊の衣、霊は魂の衣

 ではもとに戻って、私たちの三つの要素の関係を説明しましょう。肉体と霊と魂の関係ですね。肉体とい
うのは私たちを構成するものの中で、唯一目に見えるものです。これは霊をおおう衣で、霊というのは私た
ちの心理ですから、心理状態や心の動きによって衣である肉体は大いに左右されます。例えば悲しくなる
と涙がでるというのも、そのひとつでしょう。
 
 では魂はどういう関係かといいますと、魂をおおう衣が霊ということになります。ですから私たちの霊、すな
わち心理が、邪悪な考えでいっぱいであったり、不平不満が渦巻いていたりすると、魂は身動きがとれませ
ん。内側にとげがいっぱい付いた衣を着ているようなものです。反対に私たちの心理がプラスの想いに満た
され、進化への強い希求でいっぱいであるならば、魂はまるでかろやかな羽衣を身につけてでもいるように
身軽に動いて、その為すべき仕事を実行することができるでしょう。
 
  さて以上で肉体と霊と魂の関係はお分かりいただけたと思います。そこで次には、それぞれの要素が何
に属するかということについてお話ししたいと思います。魂は絶対太陽からやってきて神聖な火花である、
と申し上げたとおり、魂が属するのは太陽です。これは私たちの命ともいえるものです。そして能動的な要
素です。
 
  では霊は何に属するかというと、月に属するものです。人間の心理状態が月の満ち欠けに左右されるも
のであることは、みなさんもよくご存知のことと思います。そして月は受動的な要素です。肉体は大地が与え
たものです。すなわち地球に属するものです。
 
  このように私たちの三つの要素は、太陽・月・地球にそれぞれ属しているのですから、私たち自身の中に
それら宇宙のすばらしい力が潜在していることがお分かりになると思います。


魂は心臓の第五室に宿る

  私たちの魂は、肉体的なレベルでいえば、その主要な
原質が心臓の第五室に宿っています。

  光を求め、善を求めて行動をおこすその力、そのように
私たちを促す力が魂の力なのですが、それが心臓の第五
室、ちようど左心室の後側あたりに位置しているヌース
と呼ばれる部分に宿っているのです。
 
 霊とは私たちの心理的な動きであり、メンタルなマインド
の考えでもあります。分かりやすくいえば意識の流れがそ
れにあたります。
 
 地球に属する肉体は、地球と同様に十二のミネラルを持
ち、臓器や血液、内分泌腺などから成り立っています。これ
が私たちを飛躍させるための変換を行なう研究室、ラボラト
リーです。

  肉体は私たちを肉体的にはもちろんのこと、心理的にも
変換させることのできる大切なラボラトリーなのです。その
具体的な方法、エクササイズなどについてはいずれ講座で
お話ししたいと思います。
 
 肉体と霊と魂の中で、もっとも高くて繊細なものが魂、も
っとも粗野で凝縮されたものが肉体です。そして中間にあ
るのが霊ですが、それが魂と肉体を中和させる役目を担っ
ています。魂の意志を肉体に伝え実行させる役目
といってもいいでしょう。
 
  しかし霊は必ずしもそのとおりには動きません。逆にそ
のように動く方がめずらしいといってもいいくらいです。つ
まり魂の意志を無視して、全く別なもの、多くは正反対の
ものを肉体に伝えてしまう、そうして肉体を動かしてしまう
ことが多いということです。

 なぜでしようか。それがエゴの働きです。エゴは霊をつ
っついて罪を犯すようにといつも誘惑を与えています。そ
して残念ながら、誘惑に負けることがあまりにも多いとい
わねばなりません。
 
 このエゴの力を弱めていって、やがてはすっかりなくして
しまって、魂のメッセージが心理を通してストレートに肉体
の行動に結びつくかたちになるのがもっとも望ましいことで
す。そのためにノーシスの智識はたいへん役に立つのです。
 
 肉体はまた大地とも関係があります。ということは物質と
も関係があるし、食物とも関係があるということになります。
ということは、肉体的な欲望、あるいは生理的な欲望とい
うものとも関係があるわけです。これらの欲望をうまくコン
トロールしていくことも大切なことです。 

↑第1と第2の力から第3の力が生まれ
  る。それはすべての創造・クリエーシ
  ョンの源である。

↓私たちの霊体は月に属している。月人
  間である人類は月の満ち欠けによって
  心理的な影響を多く受ける。

次元を支配する法則数

 次にこれら三つの要素のそれぞれの法則についてみてみましょう。法則というのはそれらを縛る規則のような
ものです。肉体は48の法則に規制されています。それが三次元における法則数です。

  48の法則はそれぞれ12法則ずつの四つのグループに分けることができます。一つのグループは記憶に関す
る法則、もう一つは食物に関するもの、そして生殖に関する法則、創造に関する法則の四つです。
 
 肉体はこのように法則が多いのですが、霊になるとその半分、二十四の法則に拘束されるのみです。どうち
うかといいますと、まず霊は重力がありませんから飛ぶことができます。食べる必要も飲む必要もありません。
考えていることを即座に伝えることができ、また直観を通して感じることもできます。時間にも左右されません。
 
 これがどういう状態であるかを分かりやすく説明しましょう。みなさんは夢をみたことがあると思いますが、そ
れがちょうどその状態です。夢とは四次元の世界を私たちの霊体が放してきた記憶です。夢の中では多くのふ
しぎな体験があるでしょう。魂からのメッセージをうけることもありますし、肉眼では見えるはずのない人に会う
こともあります。また夢の世界以外でも、霊の力は発揮されることがあります。それが超視覚、超聴覚、テレバ
シーなどといわれる超常感覚機能です。
 
  ベートーベンというすばらしい音楽家がいますね。彼は耳が聞こえませんでしたけれども、いろいろな音楽
を聞くことができました。それは霊の耳で開いていたのです。サイキックな耳、超聴覚ですね。こういった霊の
機能をみがくことによってアストラル・トリップ、いわゆる幽体離脱ということを行なえるようになります。
 
  そして魂です。魂はいくつの法則に支配されているでしょうか。魂はすべての次元に通じています。ですか
ら高次へと上昇すればするほど法則数は少なくなっていき、十二法則、六法則、三法則、一法則と減少して
いきます。法則数が少なくなればなるほど、私たちを縛るものが少なくなるわけですから、自由になっていく
わけです。この輝ける星がさらに光を増していくということです。

 しかしそうなるためには肉体の洗練と心理の浄化が不可欠です。そのための努力をしてこそ、この星は美
しく光輝くものとなるのです。すべての経験を通して習得した叡智が、そして美しい心がこの星を光輝かせる
のです。


肉体と霊の洗練


 私たち一人一人は、全員、魂を持っています。そしてまた鉱物界から植物界、動物界から今に到るまでの
長い長い習得の歴史を持っています。魂は不滅のものであり、永遠に存在するものです。
 
  しかし霊と肉体は洗練を重ねていかねばならないものです。たとえば臆病な心理をもっているとしますと、
これは勇敢な心理へと成長させていかねばなりません。あるいはたいへん短気な人は、それを忍耐へと変
えていく、虚栄心が強い人は、それを謙虚へと変えていくことが必要です。それには肉体がとても役に立つ
のです。肉体なくしては不可能といってもいいくらいです。
 
   ゴータマ・ブッダのおやりになった修行を見てみましょう。肉体を本当に酷使しました。あるいは日本の修
行僧も断食をしたり滝にうたれたりして、肉体を通して何かを学ぼうとします。弘法大師空海も若い時には山
に籠り、険しい崖をよじのぼったり、谷にとびおりたりして何かを掴もうとしました。もちろん私はそういった苦
行をみなさんにお勧めしているのではありません。そういうことのできる人は前生からそういう修行を研み重
ねてきているのですから、ただ真似をするというのは危険きわまりないことです。

  私は、肉体とはそういうものであるということを申し上げているのです。といっても、霊を洗練するのに肉体
だけに頼っていていいというわけではありません。自分の心理をいつも観察し、見張っておいて、悪い心理状
態に陥らないよう注意することが大切です。
 
  霊、心理は四次元に属するものですから、時間にも空間にも制約されないで動きます。気をつけていないと
心の中はすぐに人の批判でいっぱいになったり、怠惰にとらわれたりしてしまいます。そんな心理をポジティブ
な方向に向けるよう務めねばなりません。そうすることで月に属する心理を太陽に属するものとすることができ
ます。それができれば、要は黄金へと変容します。すなわち黄金の霊体が形成され、魂はそのすばらしい衣に
包まれるわけです。
 
 黄金の霊体というのは高次元への乗物ともなるもので、この霊体を完成することで私たちほ高次元へと上昇
することができるのです。


運命は改善できる


  私たちは生まれ変わるごとに違う肉体を持ちます。そしてそれぞれに運命が与えられます。私たちの左手
の手相には与えられた運命が記されており、右手には私たちが開発してきた、変えてきた運命が刻まれてい
ます。すなわち、運命というものは確かにあるものですが、重要なことはそれを改善することができることです。

  私たちにはそのための一定の自由というものが与えられているのです。私たちは自分自身の意志をもって、
それを行なうことができます。しかし自由ということですから、悪くする自由もあるということでもあります、誘惑
に簡単に負けてしまったり、怠惰に引きずられて怠けたり恐怖心のなすがままであったりするのならば、運命
のままの人生を送ることでしょう。運命に示されている以上に悲惨な生涯を送ることもあり得るでしょう。

  そこで必要なのは、進化したいという意志なのです。運命を知ることが私たちのプラスになるのは、それを
知ることで変えていくことができるということに他なりません。そうでなければ、運命を知ることに何の意味も
ありませんし、かえって無気力になってしまうという弊害さえ起こるでしょう。運命とともに私たちに与えられる
のが、エゴです。これについては先ほどから何度か述べてきました。

  エゴは欲望であり欠点であり、私たちの心理を誘惑したりしてネガティヴな方向へと引きずりおろそうとす
るものです。私たちはこのエゴを長い転生をかけて肥え太らせてきました。大切に育ててきたといっても過
言ではありません。そして今現在でも、エゴを大事に包えこんでいるのです。
 
  みなさんの中で一度も怒ったことのない人がいますか。ポルノグラフィーを見たことがない人がいますか。
  不義理を一度も犯したことのない人がいますか。
  暴力的な考えが一度も浮かんだことのない人がいますか。
  ねたみを一度も感じたことのない人がいますか。一度も人を批判したことがない人がいますか。
 
  ないでしょう。すなわち私たちはエゴを持っているということです。これが私たちにいろいろな問題を起こさ
せるのです。そして知らないうちにエゴの奴隷となって、不幸な人生を送るということになります。この世で不
幸であれば、死後の世界でも同じ問題をかかえています。
 

 このノーシス講座では、魂・霊・肉体をそれぞれの特質
にしたがって生かし、そうすることでエゴを根絶し、運命か
ら自由になって、輝ける星となることを学びます。

  それは同時に家族にとって役に立つ存在となり、社会
にとっても役に立つ存在となることです。そして全世界に
とって役に立つ存在となるのです。

  そうするとこの肉体がおわったあとにも、死後の世界、
四次元の世界に至っても役に立つ存在であることができ
るでしょう。
 
  私がこれまでに述べてきたことが、みなさんに提供で
きるすべてのことです。みなさんはそれを自由に受けい
れることも、拒絶することもできます。ノーシスはそのよ
うに自由なものなのです。  

↑貪欲(心理的地獄)。ブリューゲル画