神聖な知識のすべてを司るトート神が
    人類に伝授したアルカナ(秘密、秘儀)は、
           タロットに封じ込められている。
      その秘儀を解き放つ方法を知る時あなたは
             全く新しい世界をわがものにする事ができるのだ!


実用特別企画 

        エジプシャン・タロットの秘術

     未来を読む!
     人生の疑問に解答を得る!
     真実の生き方を知る!


文・指導=ミゲル・ネリ(学研ムーNo.41に掲載) 

   タロットの鍵で秘密の扉をあける!

タロットカードは、宇宙的叡智をシンボリックに表現したものである。
そこには想像もできないほど多くの情報が秘められている。
さあ、その叡智への扉を開けよう!


カードをつくり創造の3段階を知る

  タロットカードは偉大な知識の源泉である。カラーページP8(資料File03)で紹介したように、タロットの1枚に
は、はかりしれない叡智が秘められていた。われわれはまず、そのシンボルと情報を解読し、理解しなければ
ならない。これはそう簡単な作業ではない。
              
  単に頭で理解するのではなく、感じ取る必要があるからだ。鋭い感受性が要求されると同時に、ある程度の
時間をかけなければならないのである。
  
  タロットカードの実践というと、すぐに占いを連想するはずだ。しかし、いくらタロットに神秘的な力が隠されて
いるとはいえ、タロットを手にしたとたんに占いができるものではない。たとえタロット占いの方法を知っていた
としても、タロットが語りかける「言葉」を聞くことができないなら、占いの内容は貧弱で信頼のおけないものに
しかならないのだ。

   また、タロットの神秘的な力は、占いにだけ発揮され
るものではなく、さらに広い範囲にわたっている。

   それらについてもいずれ説明するが、いずれにしろ、
タロットの力を利用するには、まず、タロットがあなたに
ささやきかける言葉を理解する必要がある。
    
  これは比喩でも何でもない。プラクティス(練習)が
進めばわかることだが、1枚のタロットカードは、まさに
ひとりの人間となってあなたに語りかけ始めるのだ!

  それを聞き取れるようになることが、タロットの実践
の第一歩になるのである。

↑偉大な知識はトート神(中央)によって授けられた。

◎タロットカードをつくる
  
   カードの実践についてはあとで述べるとして、その前にまず、自分
専用のカードを準備しよう。付録の針金とじを外して1枚ずつカードを
切り離し、22枚の大アルカナをつくる。
  
   カードには歯型が入っているので切り離しは簡単にてきるが、い
くらか出っばりが残る。それは図@のようにサンドペーパーで、てい
ねいに削り取る。

 初めによく切れるカッターナイフで、できるだけ出っぱりを取ってお
くと仕上りがきれいになる。サンドペーパーをかけるときに注意する
ことは、あまり力をいれないことだ。乱暴にゴシゴシこするとカードの
厚紙の表面が剥離することがある。その点には十分に注意しよう。
 
 タロットカードができあがったら、紫色の布袋をつくり、その中にカ
ードをしまっておくようにする。紫という色には他からのエネルギー
を遮断し、カードを保護する効果がある。
 
  なお、付録の1枚目に「ペンタグラム」がついているが、これはカッ
ターナイフで切り取る。あとで述べるプラクティスのときに使うものだ。



◎カードに表れる創造の3段階
 
  さて、カードを見ていただくとわかるが、表の絵柄は3段に分かれ
ている。この3段が創造の3つの段階を表しているのだ。
 
  上段には幾何学的構図やシンボルが見られるが、これらは天体
の影響、生命の起源、無限の宇宙空間と高次的知識に相応する。
 
  中段は、いわゆる生命の表現としての人間、およぴその意識の
段階だ。人間が知識を適用し努力(仕事)することによって、心理的
に洗練され上昇することのできる世界を示している。

  したがって、中段のシンボルは、わかりやすくだれにでも理解で
きるものだといえる。
 

↑さまさまなソンボルに、はかりしれない叡智がある。

  下段は、人間の意識の隠された部分、または退化、退廃の段階を示している。

  こうして、1枚のカードには、人生における相反する2つの極、つまり、進化と退化、目に見えるものと見えない
もの、高いものと低いものが表され、さらにそれらの状態の中心軸としての中段がある。
 
  この中段こそが、人間に与えられた自由と個人の意志によって人生を改善し、カルマを排除し、高い意識の
次元へ進化する可能性なのである。
 
  カードの多くは、上段と中段、中段と下段、または上、中、下段がつながっている。これは、それぞれの密接
な意志疎通や、それらに通じる扉を表すものだと解釈する。そこで、3つの段階について、それが具体的にどの
ような意味と関連を示してくるか、例として1番目のカードをあげて説明しよう

カード1 魔術師

  あなたがつくったカードの中から数字1のカードを取り出し、
それを見てみよう。まず、太い枠で囲まれた部分は、大きく3つ
に分かれている。
 
  上段の最初にくる太陽から3本の光線が放たれたシンボル
 は、太陽の魂(太陽を司る知性)のシンボル。そのすぐ下は
「ラーの目」。ラーとはエジプトの太陽神で、すべてを見、われわ
れの1日24時間の行動を知る目を持っている。
             ヒエログリフ
  左にはエジプトの象形文字「はげたか」。アルファベットのAに
相当し、「初め」を意味する。右のシンボル文字は相応するルー
ン文字である。
                           マスター
  中段には魔術師の図がある。魔術師=導師は、エジプトの風
習にしたがって聖蛇(コブラ)をつけたヘア・バンドをしている。
それは奥義の黄金のコブラの上昇による、普遍的叡智をわがも
のにしたことを象徴する。
                       しゃく
  魔術師は左手(左はハートの側)てを持ち、その先端には
(表現しえない神を表す)があり、彼はそれに視線を合わせて
いる。すなわち、心からの愛と献身を通して神と結びつくことを表
しているのだ。

  一方、右手は力と物質を表す側だが、それが地上を指さしている。すなわち、右と左のバランス、狂信的に
極端にならず、肉体と魂の完全な均衡を保つことを示している。左足は人生の道を一歩前進し、ひざと胴のあ
いだの三角形=三位一体の創造的原理は、人間の生殖器(創造する力)に存在することを示している。
 
  魔術師の前には仕事のための台があり、その上には(進歩のためのたえまない戦いと意志の力)と
(人間自身による人の創造の器)がある。その横にある金貨は霊の崇高な価値(美徳や霊の感覚機能てあ
るチャクラの開発、黄金の霊体など)を示す。
 
  仕事台の下にはエジプトの聖なる鳥トキ(トート神)がいる。これは常にわれわれの仕事や善行を助け、ま
た観察する存在を象徴している。だから黒く、台の下にいる。すなわち地上ては肉眼に見えず、神秘の存在で
あるからだ。
 
  さて、下段には、黒の斜線(下にある土と水)と、その中に立方体がある。賢者の石、人の寺院の土台を
意味するもので、すなわち「性」を象徴している。 

  こうして3つの段階、つまり、神聖な段階、人間的段階、
潜在意識の段階が、1枚のカードに表されているのだ。
  
  図の外側下部には、カード名「魔術師」が記され、その
数値1、そしてのちにカバリストたちによってつけ加えられ
たヘブライ文字、アレフ( )がある。

  さらに特製カードには、左右の空間に、理解を助けるた
め、各カードの秘教的な意味を総括してつけ加えた。しか
し、それはあくまても目安、参考であり、あとで述べるプラ
クティスによって、あなた自身が感じ取るようになることが
重要なのである。

↑イビスと呼ばれるエジプトの霊鳥トキはトート神を象徴する。

目標をはっきり定めてから実践する

   さて、ここまでの説明でも想像がつくと思うが、タロットカードの一枚一枚のシンボルには、たいへん奥深く、哲
学的でありながらわれわれと密接に結びつく教えと力がこめられている。
  
   そこでまず、カードを手にして始めたいのは、中に秘められている情報を「知識を得るために使う」ということで
ある。具体的には、一枚一枚のカードの意味を知り、感じ、そして自分の内部に浸透させるようにするのだ。そう
すれば、旅行や金運、恋愛などの、単なるカード占いという使い方だけでなく、あなたはファラオたちの奥義の教
えに参入することができる。
 
   これをもっと近代的にいえば、宇宙的コンピュータを通して自然界のメモリーから、われわれの行動や存在の
目的を理解するためのデータや、目に見えない次元からのメッセージ、さらには高次的知識を得るための操作
技術を習う、ということなのである。
 
   そのための訓練の第一歩は、自分に次の質問をすることだ。「自分は何を望んでいるのか?」紙を1枚取り出
して、とりあえず、今、自分が望むことを書きとめてみよう。自分は人生の中で本当は何を実現したいのか。

   それを書きとめるという行為は、いわばコンピュータのキーをたたいて命令をインプットするようなものである。
ただし自分が最も望むこと、または人生のゴールについて考える時、正義と生命の法に準じることが必要だ。
すなわち利己的な欲望や不正を望んではならないということだ。
 
  自分が最もしたいこと、知りたいことを明記するというのは、あなたのマインドと潜在意識に、一定の質問を記
録することでもある。そして、タロットカードというメディアを通して、解答や具体的な情報を得ようとするものであ
る。このとき、漠然とした、重要でもない問題をタロットに相談しても、明快な解答を期待することはてきない。な
ぜなら、あなた自身のマインドがはっきりせず、考えもまとまっていないからである。

  また、あなたの人生のゴールが手に届きそうにないほど遠
いものなら、最終目的に到達するためのいくつかの中間目標
を具体的に考えておこう。
 
  さて、ここまできたら次は「実行」、すなわち動きである。行
動がないとしたら、いかに美しい理想も、いかに清らかな考え
も、何の価値もないといえるからだ。

  われわれ自身の行動なしに目的が実現されることは決して
ない。行動の第一段階として、ひとつのキーであるタロット(秘
密の扉を開く鍵として1枚のタロットカードはキーになる)に、3
日の時間をかける実践から始めよう。
 
 大アルカナのカードは22枚あるので、合計66日間のプラクテ
ィスを要することになる。次にその方法を詳しく説明していこう。

↑タロットによってファラオたちの奥義の教えに参入する。

 タロットの叡智を手に入れる66日間

 一枚のカードに3日の時間をかけ、タロットの実践に入ろう。合計66日間のプラクティスによって、
 あなたは最高の知恵を身につけた人間に生まれ変わるのだ!
◎1日目
 
@静かな部屋に座り、日の出の方向、東に向けて台を置く。台
の上に白いテーブルクロスをかけ、付録についているペンタグ
ラム
を中央に置く。その横(左右どちらでもよい)に白いロウソ
ク、もう一方にコップ1杯の水。植物性の香(線香でもよい)があ
ると、さらに雰囲気の洗浄ができるのでなるべく用意する。また
季節の花を飾るのもいいことだ(図2)。

A仕事台=祭壇の準備ができたら、呼吸を整えて落ちつき、
右手をハートの上にのせて次のように祈る。
 
 ★オムニス イアウム インティモ/我の内に在る魂の父よ/
   トートの書のキーを通して宇宙の神秘を発見することを許
   したまえ/私の魂が精神的進化をとげるため/それらを
  実践にうつすことのできますよう/あなたの聖なる意志に
  より/そうありますように

B次に第1のキー「魔術師のカード」を香の煙にまぶしたあと、
自分の前に置く。そして5分間このカードをみつめる(図3)。
注意するのは、この5分間は、頭で何も考えようとせず、つと
めて受動的な、白紙のような状態になることだ。
  そのために肺の中の空気を、いったんすべて外に吐き出し
てから、ゆっくりと深く呼吸するといいだろう。そして体中の力
を抜いてリラックスする。これが受動的、すなわち情報を受け
るための受身の姿勢をつくるということである。

C5分間カードを観察すると、文字や図形、シンボルがわれわ
れの潜在意識に投影され、タロットの数学的キーを通して情報
が届き始める。
 ここで注意するのは、5分以上カードを見続けないということ
だ。時間が長すぎると、あなたの潜在意識の中に情報が蓄積
されすぎ、マインドの中で十分処理できないまま混乱をまねく
恐れがある。

D1枚のカードの線や情景を1日5分間観察するとき、観察と
蓄積の作用として、自分の中に質問がわきあがってくる。そこ
で5分間のプラクティスが終わったら1冊のノートに、このキー
を見て思い浮かんだすぺての考え、示唆、質問などを書きとめ
る。

Eこうした一連の作業が終わったら、本文に書かれているカー
ドの総括的説明を読む(本ページの最後に解読編で説明してある。
ただし、カード1の魔術師については、例として上で説明したので、それ
を読むこと)

  すると、あなた自身の中でさらに新しい結果が発生するだろ
う。そうしたものも、もちろんすべて、ノートに記録しておくこと。

F始めたばかりのころに、自分の感じた内容が、たとえ何の意味もないことのように思えても、もれなく書き
とめること。なぜなら22のキーの最後にすべての情報を結集した結果をまとめることができるからだ。そして
それが、あなたが最初に書いておいた人生の目的や、いかにそれを実現するか、などに関する多くの情報
(解答)に結びついていることに気づくたろう。

Gこのプラクティスは、毎日同じ時間に実践すると、その効果が大きくなる。そして、ひとつのキーにつき3日
間くり返す。つまり、1日5分間を3日、合計15分、ひとつのキーに専念するのだ。それでは2日日に進もう。
 

◎2日目


 やり方は1日目と同じだ。東に向いて台を置き、祈りをささげ、リラックスする。そして、1日目と同じカード1を
5分間みつめる。するとどうだろう。前日と同じカードのはずなのに、新しい考え、新しい質問がわきあがってく
るのを知って、あなたは驚くことだろう。そうしたこともまたノートに記録しておく。
  
 次に本文の説明文(前日読んだカード1のもの)を読むと、前日よりは掘り下げた意味が自分に浸透してくる
ような感じを受ける。きのう読んだ同じ言葉が今日は異なった意味にとれたり、別のことを連想させたりして、
同じひとつの言葉(語)でありながら、段階を進むごとに異なった意味を自分に語りかけてくることに気づくので
ある。


◎3日目

 この日も今までと同じことをくり返す。新たな発見があれば記録することはもちろんだ。1枚のカードを見てい
る3日のあいだ、学校や電車の中、そのほかいろいろな場所でカードが思い浮かび、あなたの目標に関連し
た新しい考えや情報が得られたら、それもノートに書くこと。ノートが手元になかったら紙にメモし、あとでノー
トに写しかえるとしても、とにかく思い浮かんだときに書きとめるのが大切だ。
 記憶しておいてあとで書こうとはしないこと。なぜなら、忘れてしまったり、情報を変質していく新しい考えと
まざってしまうからだ。また、ひとつの考えを書きとめることによって、ただそれを考えるよりも定着させること
ができるのである。

  ここまででカード1のプラクティスは終了する。


◎エネルギ一・プロセス


  さて4日目は、新しいカード、すなわち「カード2 女神官」を使う訓練が始まる。やり方はすでに述べたカ
ード1の3日間とまったく同じだ。
 
  カード2に集中して観察するとき、母なる大自然のふところに生かされる自分と、それを見守る暖かい母の
まなざしを感じ、自分の内の奥深くに共振する何かを感じとるように試みよう。このようにして、図形と文字の
タロットのキーは、いきいきと自分の中に息吹を感じさせてくる。
 
  すなわち、生きた宇宙のエネルギーとしてたえることなく活動し、宇宙のひとつの生命である自分に直接作
用してくる回路が開通したのである。この方法で、あなた自身、宇宙の創造的営みにさらに浸透し、歩を進め
ていくことができるだろう。

  カードはもう、ただの厚紙に印刷された線ではなく、生命が生まれ、すべてが生じる別の次元への扉にな
る。こうしたエネルギー・プロセスは、頭で考え、理性に訴えるような問題ではない。また、クールな機械的
反応でもない。それは、自分の内にある心理的分野の奥深いところから浸透を始める。
 
  だからこそ、プラクティスは1日5分間にする必要があるのだ。人間の心理は受け取ったものを明快に消化、
吸収する必要があり、そのために時間を必要とするからである。「意識・良心」はわれわれの魂のエネルギー
であり、それがわれわれの心の最も奥深いところにあることを忘れてはならない。一方、観察しているキー
(タロットカード)は外側にある。そして、両者の中間の媒体にあたるのが心理なのである。

  つまり心理は、外と内の板ばさみの状態にある。したがって、心理を無理やりに、その能力以上の重労働
にかりたてることは避けなければならない。あなた自身の心理なのだから・・・。もし、過度の情報プロセスに
さらすなら、心理は混乱・混線してしまい、何の役にも立たない。混線した心理、マインドは、もはや何も達成
することができないからである。

 こうした点に注意しながら、夕ロットの神秘の扉を開ける基本のプラクティスを、今からスタートしよう。その
間、自分の胸ポケットに、訓練に使うキー・カードをしまっておくとよい。(1日日〜3日目まではカード1、4日目
〜6日目まではカード2という具合に)。
 
  こうしてカードからのたえまないバイブレーションを受けていると、5分間のプラクティスで受け取る情報を、
明快にキャッチする助けになる。しかしこれは、必ずそうしなければならないというのてはなく、ひとつの示唆
にすぎない。

  また、あなたのタロットカードはあなた自身で保存し、機会があるごとに香をまぶし、他人の手にはさわらせ
ないようにするのが望ましい。そうすることで、カードが他のエネルギーを含む危険を防ぐことがてきるのであ
る。なお、タロットからの情報キャッチの補助として、表aにヘブライ文字との関係を示しておいた。 

ヘブライ22文字の意味と数値

  ヘブライ文字    意   味 数値
 字形   表  記
  ALEPH 原動力 牛  
  BETH  
   GIMEL らくだ  
  DALETH 扉 戸   4
   HEH   5
  WAU 針 ビン   
  ZAYIN  
  CHET 垣 塀  
  TETH  
  YOD  10
  KAF 握りこぶし  20
  LAMED 導き  しるべ  30
  MEM  40
  NUN  50
  SAMEK アーチ 支柱 ささえ  60
  AYIN  70
  PEH  80
  TZADI 釣り針  90
  KUOF うなじ  後頭部 100
  REISH 200
  SHIN 300
  TAU 十字 400
◎タロットの色の印象
  
  さて、タロットから得られる情報は図形や文字からのもの
だけではない。もうひとつ忘れてはならないものに「色」があ
る。
 
  タロットの色は、シンボルや他の要素と同様に、感覚や考
えを生じさせる。色は光と密接な関係を持ち、各色に特有の
バイプレーションが人間の心理に作用してくるからだ。

 画家や芸術家たちだけでなく、感性の鋭敏さがある人なら
それをよく知っているたろう。たとえば、一夜のうちに雪の降
り積もった朝のことを考えてみよう。

 前日まで何の変哲もなかった街並が、白い雪でおおわれ
ているだけで見違えるような印象を与える。あるいは、街路
の木々がいっせいに芽ぶき始め、くすんだ褐色から緑色に
変化する。

 そんなときにも、われわれの心理は微妙な影響を受ける。
 
  つまり、色はひとつのエネルギーとして、人間の心理に何
らかの影響を与えるのである。もちろん、そのときの心理状
態によって、その影響は異なった形で表れる。同じ色を見た
としても別の日になら異なった効果を生じさせるのだ。

 たとえば、スポーツをして思いきり体を動かしたいと思って
いる日に赤い色を見れば力を生じさせ、恋をしているのなら
同じ赤い色が情欲にますます火をつけたりする。
 
  したがって、タロットの与える色からの情報は、はっきりこ
れだと固定化することはむずかしい。一般的にいえば、暗い
色は、もの寂しい、否定、消極主義的な印象を与え、反対に
明るく輝くような色は、生命、希望、喜び、精神的平和などと
関連している。
 
  付録の3、4枚目に基本的な10色を選び象徴的意味をあ
げておいた。これは、色調の違いによる両極端の意味も示
している。色の与える情報について、ひとつの目やすとして
使ってほしい。

  ただ、それはあくまて目やすであることを忘れずに。これ
らの意味にこだわる必要はないのてある。




   
 目に見えないチャンネルと結びつく

   あなたはすでに「真理の道」を歩き始めている。
 心で感じ取るさまざまな情報は、まったく新しい世界像を見せてくれるはずだ。
 高次元へのチャンネルが開通する!

 
◎真理に気づく!

  
  人生のゴールに続いている階段のように、一歩一歩着実に、失敗することなく進んでいくシステムとして、タ
ロットは画期的である。すでに述べたように、この知識は自然界の普遍的メモリーという無尽蔵の情報源から
発し、あなたの人生におけるすべてに適用することができるものだ。

  1の次には2が、2の次には3がと、常に完壁な秩序と均衡を保ちつつ進行する「数」が、タロットの基礎となっ
ている。自然を観察してみればわかるように、自然は決して途中を省かない。種を植えれば果実を実らせるま
でに、発芽、生長、成熟の過程を通らなければならないし、われわれ自身、19歳を通らずに2O歳になることは
ない。
  
  このように各プロセスは速く通過するにしろ遅く通るにしろ、数にしたがい、順序正しく進むか後退するかで
ある。決してプロセスを省略することはてきない。この基本プラクティスでも、それを忘れてはならないのである。
  
  さて、こうして66日間の訓練を終えたら、一定期間(最低1か月)の休みを取ることをお勧めする。タロットの
情報が心理的に定着する時間を与え、マインド内の新しいデータを整理するためだ。そして、自分の位置を確
認するため、今まで進んできた道をかえりみてみよう。

  あなたのノートには豊かな情報があり、自分自身の中からいかに多くのものを産出してきたかを確認するこ
とができる。それはどこかで読んだり聞いたりしたことではなく、自分の内側からの情報である。それをだれか
に話しても理解されないかもしれない。しかし自分にとっては意味があり、実用的な用途があり、人生の一瞬
一瞬にそれらのキーが機能してくる。
 
  もうここまでくると、学校やマスコミを通して知ることがすべてではなく、自分自身を通して宇宙とのコミュニケ
ーションがあるということを体験的に認識するだろう。ただ単に他を模倣するのではなく、自らがどこにも発表さ
れていない情報の生産者となったのだ。
  
  それが以前にはなかった大きな自信(うぬぼれではなく、自分を信頼すること)を与え、何かを学ぶのに何
十冊もの本を読む必要はもうなくなる。日常生活の中で見ること、聞くことも、3つの段階から見るようになる
自分に気づくだろう。

  そして大部分の人は、下段の物質的で最も粗雑な印象のみで生きていることに気づくたろう。

  それは気づかなければ永久にわからなかったことだ。気づかなくても、この世の生活には何の支障もない
ことなのだから。だが、あなたはタロットのプラクティスを通して、それに気づいた。すなわち、タロットの叡智が
あなたに浸透し始めたのである。タロットの語源である「真理の道」とは、まさにこのことなのだ。
  もうひとつ、たぶん気がつくだろうと思うのは、奥探い真実
の情報を受け取ったあとでは、外界からの表面的な情報、有
害な情報を感知し、識別し始めるということだ。 
                                   
  こうなると、あらゆるメディアを通して氾濫する情報を濾すこ
とが可能になり、情報にふりまわされたり頭にゴミをつめこむこ
とが避けられる。

  どうしてそうしたことが必要なのか?
 
  22の大アルカナの練習を終了した時点で、あなたは、集中
して見たたったひとつのシンボルが、あなた自身の中に印刷
され、それによって内側で力が動き、変化をきたし、それが産
出までするものであることを納得するはずだ。
 
  それなら、テレビや雑誌、街頭広告などで目にするポルノ
的なイメージや暴力場面についても考えなければならないだ
ろう。それらもまたわれわれのマインドに焼きつき、有害な結
果を生じさせる。

  それが連続するなら、われわれの心理は病み始め、退廃
することになる。すべての原因は何らかの結果をもたらす。
毒を食すれば毒される。同じように、われわれのマインドに、
破壊的、退廃的な考えやイメージを食べさせるなら、その結
果を苦しむのはわれわれ自身である。

氾濫する情報のろ過が必要はことは、これでおわかりだろう。
↑神秘的なコミュニケーションが実現すると、メンフィスのスフィン
  クス(上)が四大要素を表すことや、祭壇に刻まれたレリーフ
 (下、ハスとパピルス)が上 下エジプトの結合の象徴であるこ
  となどがわかる。
 ◎タロットが解答を示す

  さて、基本プラクティス終了後、最低一ヶ月の休みを取れば、もう一度、同じプラクティスを繰り返すことがで
きる。そうすると、同じカードを見ても、今度はさらに奥深い情報を得られることに気づき、驚くはずだ。タロット
のキーは多くの目に見えないチャンネルとつながっており、1度目はそのうちのひとつをキャッチし2度目は異
なった周波をキャッチする。

  だから、2度目には新しい情報を得ることができ、さらにあなた自身の理解力が増しているから、もっと重要
なメッセージを受け取ることもできるのてある。
 
  こうしたプラクティスをまじめに行うなら、すでにあなたは数か月の時間をタロットとともに過ごしたことになる。
そうしたら、何か疑問があるときに、自分の内部にそれを問いかけてみよう。すると時間的に遅い早いはある
が、疑問に対する解答がひとりでに湧き上がる事に気づくだろう。

  全く思いもよらない時に解答をキャッチする。そんなときあなたは、自分が最も受動的な状態にあるのを知
るはずだ。数か月のプラクティスによって、あなたはもはや以前のあなたではなくなっているからである。
 
  そして、疑問に対する解答を得やすい状態とはどんなものかが自然にわかってくる。そうなれば、タロットを
操作して相談するという、次の段階へと進むことができるのだ。つまり、タロットで占いをするといっても、こうし
た基礎がてきていないと占いは不正確になり、情報を主観で変えてしまうということが起こりかねない。
 
  さて、基礎の重要性がわかったところで今回は終りにしよう。次号ではタロットを操作し、相談するという高
度なテクニックについてお話する予定だ。願わくばその間にタロットの叡智があなたの内に宿りますように。 
【大アルカナ2〜22】
タロットが教える高次元の宇宙知識

 ここにはタロットカードの大アルカナ2〜22までのそれぞれについて、
 解釈の助けとなる事柄を解説しておいた。
 毎日行う5分間のプラクティスが終わったあと、該当力−ドの説明を
 読み、自分の印象を定着させるのである。

カード2 女神官

 コスモス
 宇宙の母。彼女はカードの中段に座している。獅子の足をした玉座は、彼女
の権威と尊厳を象徴する。 顔をおおうベールはイシスの神秘を表し、額から
は聖蛇が出ている。

  彼女の冠は上エジプト、下エジプト両方の特徴をそなえ(結合し)、さらにそ
の上には聖なる牝牛の角(天の川、宇宙の母を表す)その太陽(オシリス)を
持っている。この冠は上段、すなわち高次元にまで通じ、そこにエジプト象形
文字(左)とルーン文字(右)、そして最上部には前のカードと同様、それぞれ
のキーに相応する天体のシンボルがある。
 
  彼女は左手に叡智の書をたずさえている。父の下に戻るための知識を与え
るのは母だからだ。右手にはアンク十字(復活と永遠なる生命のシンボル)を
持ち、その右手をハートの上に置いている。聖なる母の愛と力を示す。
 
  彼女の左胸はあらわになっている。母の与える乳はわれわれがこの世に生
まれたときの最初の食物であるところから、魂の栄養である叡智、知恵を象徴
する。玉座の両側にはハスの花を土台にした2本のエジプト風の柱がある。ハ
スの花は精神的平和と(水から生まれるところから)生命の起源を象徴してい
る。
  左の柱は白、右の柱は黒を表現しているが(永遠なる二元性)、すなわち永
遠の動きを生じさせる2つの力、東洋での陰陽、ヘブライのカバラでいう「ジャ
キンとボアス」を表す。
 
  下段には、中段とは白と黒の位置が逆になったエジプトの安定の柱が2本
ある。すなわち、下段と中段では極が反対であることを示している。
 
  2の女神官は月の特質を持ち、1の太陽とともに父と母、男性原理と女性原
理を象徴している。



カード3 皇 妃


 ひとりひとりの内に住む母。2の大きな母に対して小さな母とも呼ばれる。
彼女の特質(しるし)は金星、愛、犠牲。彼女は立方体(すでに1で説明した
意味と同じ)の上に座し、この立方体は下段の月の上にある。

  西洋でもよく三日月の上に立つ聖母像が見られるが それはこの場合と同
じく月と太陽を結びつけ、それを中細させて完全なる均衡を保つことを象徴し
ている。
 
  頭上には12の星(黄道帯の12の星座宮)が輝く太陽のオーラがあり、上段
に通じている。彼女は右胸をあらわにしている2のイシスが左胸をそうしていた
ように。

  この2人は補いあって完全なひとりになるからである。つまり叡智と愛。

  右手にパワーの笏を持ち、左手て魂のシンボルてある鳥を指さしている彼
女(愛)が、魂を飛翔させ、神々へ至る道をわれわれに示すのである。


 



カード4 皇 帝


  火星、力と戦いの星である。

   ここまでに、創造主である父=1、太陽・叡智である宇宙の母=2、金星・
彼女の純粋な愛=3と見てきたわけだが、この火星・力=4を加えて、人生に
おいて勝利を得るための4つのキーがそろう。

   すなわち、創造−叡智−愛−力だ。
 
  さて、4の皇帝もまた立方体の玉座に座っている。

  その中には猫がいる(ネコ科の動物はその鋭敏さから、超常感覚機能を
表すシンボルとして使われる)。
      
   おうしゃく
  彼は右手に王笏を持ち、ハートの上に置いている(力と愛のバランスがと
れている)。

  頭は上段、すなわち高次元に通じ、火星の力を表す冠をつけている。





カード5 法の審判 


 教主、高僧。エジプトのアヌービス神、カルマの審判官。
 
  われわれのすべての言動を分析し、われわれの心と真実の羽根を天秤
にかける。

  天秤がバランスを保つなら、彼が我々の努力(仕事)をさらに助けるだろ
う。しかし、われわれが正義の法を破るなら、彼は我々のカルマの情け容赦
ない裁判官となるのだ。
 
  このキーを通る時、自分が実現しようと望むゴールは、正義の法にのっと
ったものであるかどうかを熟考してみよう。

  利己的な目的ではないか、自分の進歩のために他人を蹴落とすものでは
ないか、という具合に。

  人類全体の原則はわれわれ個人の行動に優先することを考えるのである。
          
       ※
 
  訓練を始めてから16日日になった。カードにもだいぶ慣れ、親しみを覚え
てきただろう。それが自分自身といかに深く関わっているかを感じ、自分の一
部のようにさえ思えるようになっているかもしれない。
 
  そうした成果を期待するには、ロボットのように機械的に訓練をくり返すの
ではなく、心をこめて実践しなければならない。カードを置いた祭壇の前に座
るときは、自分が尊敬する人を前にし、その人が愛と忍耐で導いてくれる、そ
んな場面を常に想像しよう。
 
  こうした態度で毎日のプラクティスを行っていれば、カードは単なる図や外
部のイメージてはなく、自分の内部と関連し、実際にカートの光線の中で自
分自身が生きていることを実感するだろう。

 

カード6 優柔不断

  2つの力のあいだに立たされている。ひざまで土(下段)に埋まってしまっ
て、どうしていいかわからない。理想を追求し続けるか、または勝利や宇宙
の神秘のことは忘れて、世間並の平凡な人生に甘んじるか。
 
  両側の2人の女性は援助と協力の手を差しのへている。右側の女性は裸
体が透けて見える。それは彼女が真実を表すからだ。真実は何も包み隠さ
ず、また、われわれがだますこともできない。

  すなわち彼女は、われわれに人生の現実を突きつけ、自分自身の欠点や
あやまちに直面させる。彼女が衣を身につけていないもうひとつの意味は、わ
れわれのたえまない真剣な努力とひきかえに魂の美と純粋さを提供するから
である。
 
  6という数字にもまた重要な意味がある。3は創造の数てあることはすでに
説明した。三位一体、父・母・子、陽子・電子・中性子という具合に、3つの力の
結びつきなしに何ひとつとして創造はなされない。
 
  そこで6は3×2ー神聖な創造の3と、人間の生殖の3に分けられる。すなわ
ち、6という数は人間における「性」を象徴する。

カード7 勝 利 
 
  勝利の車を引く2体のスフィンクスは一方
が黒、もう一方が白である。この2つがわれ
われを完壁なバランス状態に保ってくれる。
それは6のキーを克服し、優柔不断から行
動へと決心がついたからだ。
 
 こうしてわれわれはパワーの王笏を手に
し、右手には意志の力である剣を持つこと
になる。人生の目的を実現することが可能
であるのを確信し、自分に対する信頼を獲
得する。
 
  7は創造と自然の秩序であるバランスの
法だ。すべては7つ(オクターブ)に分けら
れる。1週間の7日、主要な7つの天体、虻
の7色、音の1オクターブ・・・。またわれわ
自身、7年ごとに有機体の細胞を更新する
(神経細胞は例外)。
 
  均衡−それが勝利である。決して狂信
的にならず、極端な行動に走らないという
ことは大変に重要なことなのだ。すべての
行動にバランスを保つこと。そうすることで、
初めて冷静に判断し、理解し、満足のいく
方法て解決することがてきる。

  バランスのとれた人間は、常にどこでも歓
迎される勝利者てある。
カード8 正 義

 剣はその使い方によって意味が違って
くるが、中段の女性が手にする垂直に上
を向いた剣は正義の象徴である。

  審判官は男性的だが正義は女性的正
義が裁き、審判官は行動を起こす−こ
れが8のキーである。
 
  8は横にすると∞(無限大)であり、また
8は○の上にもうひとつの○が乗ってい
る。つまり、上の神と下の神、われわれ
が地上で行うことは上でも知られている
ということだ。
 
  女性(正義)の頭の上の羽根は「真理
の羽根」と呼ばれる。彼女は3段の階段
(三位一体の力)の上にひざまずいてい
る。
 
  このカードのすぺてのシンボルについ
て瞑想し、偉大な宇宙プログラムと自分
との関係を自覚するよう試みよう。そして
そこでは、自分のひとつの善行がひろく
報われ、また反対に悪行にはそれに相
応する報いが必然的にあることを悟ろう。
 
  「正義」には常に順ずることが望ましい。
正義の剣と天秤の前に隠しおおせるもの
は、何ひとつとしてありはしないのだから。

カード9  隠 者

  彼はすでにイニシエート(奥義参入者)で
ある。すなわち7のキーの勝利のみでなく、
光の神秘のイニシエーション(奥義参入)を
も獲得したのである。
 
  タロットはすでに人間を完全なものとするた
めに最も重要な8つの見解を、我々に与えて
くれた。そして、ここでわれわれの世俗的人
格は終わり、悪癖は捨て、新たな決心をし、
まったく平凡な人間から気高い信念を持つ
人間となった。

  誘惑されるままにおちぶれるのではなく、光
の道を歩み、上昇するための努力と戦い始め
たのだ。するとおうおうにして、次のようなこと
が起こる。

  それは他人に理解されないということだ。雑
踏の中を歩いていても、家族や友人といても、
この9のカードのように砂漠を歩くことになるの
である。
 
  といっても、彼はただ放浪しているのではな
い。右手にパワーの杖、左手に道を照らす明
かりを携えている。しかもなお、この世におい
ては理解されない「見知らぬ人」である。
 
  カード中段の砂漠にあるヤシの木は精神的
勝利のシンボルだ。すなわち、自己実現へと
われわれを導く光の道における、ひとつの内
的な勝利なのである。イニシエーション、奥義
参入とは光の道を歩き始めることにほかなら
ない。

カード10   報 い

  ここまてで1から10までを1周したことになる。

   10は再び1に戻るることになるのだが、終わることのない生命
のらせん形の回転の中で、1周前の1とは異なった段階の1であ
るはずだ。
 
   ここでわれわれは人生の中で進歩したのか、あるいは逆に自
分の道徳や行状において下降してたかを自覚することになる。
 
   生きているあいだは、この運命の輪を自分に有利に回転させ
ることがてきる。この可能性を大いに生かそう。

11を中心に回転するタロソトの数字。矢印て結んだ例のように、11と
   交差する数をたすとすへてが22になる。

カード11 説 得

  カード中央でひとりの女が何の力もこめずに、ライオンの
口をやさしくあけている。

  彼女は人生の状況を変えようと強制することはしない。強
制や無理じいをするかわりに説得する力を使っている。
 
  これが物事を中和させ、自分自身も益することの多い最
善の方法である。つまり、反対の結合=相反する2つの力
を中和させる、基礎システムにほかならない。
 
  11という数は、2つの1からなり この2つの1は相反する。
しかし、説得を通して妥協(和解)することがてきるのだ。
 
  また、11という数は22の大アルカナの中央に位置してい
る。この11という数を中心に他の数が左図のように取り囲
み、回転するような関係を形つくっているのである。
カード12 使徒の職
 

 われわれは9のキーのように人生の砂漠を歩くだけではない。この
カードでは上下さかさまにひっくり返ってしまった。覚者はこの世的な
目には逆の存在たからだ。
 
  男は両手にしっかりと握っていたコインも手放している。だが、その
かわり、異なった種類の価値(財産)を培っている。芸術、魂の気高さ、
純粋科学、心理的洗練・・・・といったものを。
 
  しかし、だからといってわれわれが地上で暮らすのに必要なものま
ですべてを拒否し、たとえば出家するようなことを意味するのではない。
そうした極端な盲信ではなく、物質的価値はさらに高い価値を生み出
すために使うということだ。

  そして、自分の金銭的利益より、助けを必要とする人を救済すること
が優先してくる。経済的に豊かであることは悪ではない。ただ金の奴隷
になってはならない。物質的な富にささえを見出すのではなく、このカ
ードのように上から吊るされるー高次の力、意志に従って、物質を賢く
使うーことを知らねばならない。
 
  カードの左右にある2本の柱が完全無欠に我々を支える。12の数は
一つのサイクル(1年の12ヶ月、黄道帯の12の星座宮のように)の完
結でもある。
カード15 情 欲
           
 おめ
 羊と牛の角を持ち、体は男女(アンドロギ
ノス) の神クヌムは、ろくろ台の上て人間
をつくり出したといわれる。
 
  右手に蛇、左手に王杖を持ち、上段にま
で貫く頭は黄金の角をつけた羊(創造と知
恵のミステリー)だ。これは日本の般若の
黄金の角と同じ意味てある。
 
  15のキーは情欲と呼ばれる。1+5=6。
性的な情欲がわれわれをとらえて離さない。
性は解放するパワーであるが同時に奴隷化
するパワーでもある。
 
  性は人間を神々にするか、反対に獣にす
るかの別れ道である。カードの上段、牛の角
の上に立つ2匹の蛇は、われわれの背骨に
そって上昇した性エネルギーだ。

  反対に下降すれば、王杖の下端にあるカ
ギ形の角のように、土に向かって落ちる。あ
との時代にできたタロットカードでは、15を悪
魔としている。それは西洋では般若(真実を
示す知恵)の神秘を知らないことによる。

 
  ヘブライ文字サメック、エジプト象形文字
Sは、2つとも蛇の繊細な音、性エネルギー
の音と関連している。ここでは性の神秘につ
いて深く瞑想しよう。性は神秘への扉、すべ
ての叡智の基礎てある。
カード14 節 制
 
  これは立証と浄化のプロセスである。

  中央の人物は上位(左手の器)の液体
を下位(右手の器)の液体に加えている。

  態度の改善をはかる、われわれの内
側によりよいエネルギーを注入する。
 
  悲観せずに物事のポジティブな(建設
的な)面を生かすことを習得する、といっ
たことが読み取れる。
 
  以前はただ、不平をいったり批判した
りするだけだったことの中に、多くの教訓
や体験として生かせるものを発見する。

  すると、人生全体に対する見方に喜び
が見い出せるのだ。
 
  カードの人物は、もうすでに頭が太陽
にまで達している。太陽は生命と知性の
天体である。
カード13 不死性

  ひとりの男が鎌(土星のシンボル)でとり入
れをしている。土星はギリシア神話でクロノ
ス(時)と呼ばれた星だ。
 
  われわれの人生(寿命)がある一定の時
間に拘束されるように、われわれの転生に
も限りがある。ひとつひとつの人生は、変換
と進化を実現するためのひとつのチャンス
である。
 
  生命と死は決して切り離すことのできな
いひとつのパワーの二極であり、死ぬため
には生き、生まれるためには死ななければ
ならない。
 
  13という数字は死を象徴するが、1+3=4
とすれば、4は生命を象徴する。このように、
13は単なる肉体の死を意味するのてはなく、
神秘的な死、即ち「自分の内のエゴの死」を
さすのてある。
  
  新しい誕生のためにはひとつの死がなけ
ればならない。もしわれわれの内の憎悪が
死ねば、愛が生まれ、虚栄心が死ねば謙虚
さが、そして肉欲が死ねば貞操が生まれる
のである。
                         ※       ※      ※
  
  ここまてプラクティスが進んでくると、タロットのキーの奥深さがますますわかってくるだろう。そして、自分の
考えていた人生よりずっと広大な視野が開けてくる。もう学校や仕事に行き、食べて眠るだけの人生ではな
く、自分のすぐまわりにある、はかり知れないほど奥深い神秘の存在に気づいたのだ。
 
  また、大部分の人々は実に表面的な人生を生きていることも見えてくる。テレビや他人から聞いたり、読ん
だりしたことを、ただオウムのようにくり返すだけで、物事を知らずにいること、何の価値もないことをあまりに
も重要視する反面、本当に重要なことは眼中にないこと、などにも気づくだろう。
 
  毎日書いてきたあなたのノートには、多くの情報があふれている。タロットは無尽蔵の自然界のメモリーと、
われわれ自身の意識の奥深くに潜在しているものを掘り起こし、目覚めさせていく偉大なコンピュータである
と前に述べたがまさにそのとおりであることが実感されるはずだ。
 
  こうして、タロットのキーはわれわれに何かを加えるというより、われわれ自身の内に、生命の始まりからあ
るものを表面化させる強力な助けとなるのである。

カード16 もろさ

 訓練を始めてからすてに46日目に入った。
目の前の仕事台は、知識と奉献の祭壇とな
り、毎日同じ場所でのプラクティスによって、
場所自身がエネルギー化され、目に見えな
いエネルギーが集中している。
 
   カード16には、エジプトのオペリスク(方尖
柱)が雷にうたれ、もろさゆえに崩れ(2つに
分かれ)人々が奈落に向けて落ちていく情景
が見られる。われわれにもよく同様のことが
起こる。つまり、自分の知識や考え方に安心
しきっていたところ、突然、大きな力にうち砕
かれ、ものすごいショックとともに今までのま
ちがった知識や考えを改めざるをえなくなる、
という具合に。
 
   また、あれほど頼りにしていた物質的な富
も安定したものではなく、偽りの土台にささえ
られていた自分に気づくときもある。われわれ
の伝統や考え方の多くが、現実にそぐわない
ことを認めなければならないのはたやすいこ
とではない。しかしこのショックをわれわれは
ポジティブに受け取り、無益な眠りから自分
をたたき起こし、悪癖や生活環境に変化をも
たらすチャンスとして生かそう。
 
   あまりにも多くの人々が現実から逃避して
いることが見える。自分のあやまちに直面す
ることを恐れ、ときには、ひとつの失敗を認め
るぐらいなら死んだぼうがましだとばかり、本
当に自殺に走る入もいる。しかし、真実勇気
があるのなら、自殺などせず、現実に直面し、
自分のまちがいを認め、それをくり返さない努
力をしよう。自分の目が開き、偽りでない着実
な土台の上
に、自分の未来を築けることを喜
ぼう。
 
   人生の中ては何度もころぶことがある。わ
れわれは完璧な存在ではないのだし、習得
の過程にあるのだ。だから子供達のように、
ころんだら少し泣くことがあっても、痛かった
ところをなぜてから、もう一度立ち上がり、元
気に走り続ければいいのである。

カード18  たそがれ

  夕暮れの薄明りに、白い犬と黒い狼、
白いピラミッドと黒いピラミッドが見える。

  白と黒は、相反する色として、2つの両
極端を表している。
 
   人生で勝利を手にするためにはこの
両極の中央を進まなければならない。

   白と黒の境にある細い線上を。それが
中道、中庸バランスの道だ。
           
  狼は野性の動物、犬は飼いならされ
た家畜。両方ともイヌ科の哺乳動物であ
る。

   しかし、われわれはその中央を通らな
ければならない。

   すなわち、飼いならされ鎖につながれ
るのではなく、また、野蛮でもなく、どち
らにも傾かず意識ある心理洗浄を実践
するのだ。
 
  下段にはさそりが隠れている。
 
   これは危険がひそむしるしであり、闇
が広がり始める夕暮れの時間の攻撃の
可能性を表す。

   この段階では黒魔術の攻撃にもさらさ
れる。

   慎重にー。

カード17 希 望

 1+7=8、無限。

  希望とはまさしく無限の力であり、常にわ
れわれをささえる力である。

  すべてが失われたように見えるときでさ
え、新しい変化の希望がわき、その希望
ゆえにわれわれは耐え忍ぶことができる。
 
  カードの中段から上段にかけて輝く大き
な星は明けの明星、宵の明星、海から生
まれ出る愛の星、金星である。
 
  裸体の女か海の水をくみ、それを地上に
こぼしている。

  そしてもう一度、その水を海の水と混合さ
せる。

  一糸まとわない彼女はわれわれに真実
を明かし、自然の神秘をわれわれに発見
させる。

  彼女の名はイシス=ウラニア。

   頭に一輪のハスの花(平和)をかざして
いる。
 
  上段左のエジプト象形文字Pは木の扉
を表現している。

  われわれの内なる母である彼女は、天
啓への扉である。

カード19  インスビレーション

 カードの上部に7本の光線を放つ太陽がある。光線の先端には手の
形。7はすてに習ったように勝利、手はこの段階に至る行程で実行して
きた努力、仕事を意味する。
 
  下段には、それぞれ3枚の花びらを持った花が3本。3×3=9。完全
なる人間の誕生を示す。

  したがって中段の1組の男女は2人の異なった人間ではなく、自分自
身の対である部分を発見し、結合を成就したことを象徴している。

  自分の内の反対の力を結合し、1となし、それがインスビレーション
(霊感)を生じさせる。1+2=10→1。
 
   男と女が同じ高さであるのは、両性とも同等であり、一方の極(男
または女)が肉体的に表現されることが、どちらか一方の優秀さを意
味するものではないことを教えている。





カード20  復  活

    けんきょう
 下段の堅強なエジプト式柱(ハスの花のモチーフ)の上に、ミイラが
横たわっている。すなわち、われわれは着実な基礎にささえられてい
る。この段階は死の克服に至っている。24時間、意識の目覚めがあり、
完全に自由にアストラル・トリップ(幽体離脱)を行い、霊は解放されて
いる。
 
  上・中段にまたがる鳥はハヤプサ(ホールス)であり、人間の顔をし
ている。カバリストたちは彼を大天使ガブリエルの名て呼ぶ。大天使ガ
ブリエルは月を司る主。われわれの霊は月に属する。しかし、ホールス
が霊を運ぶとき、それは月の支配から解放され太陽に属する光輝く黄
金の霊となる。この段階では頭で考える理性は終わり、直観の段階が
始まる。

  われわれは、もうタロットのシンボルを見て考えるのではなく、頭て考
える前に心でエネルギー的メッセージを感じ取る。分析や論理という左
脳的思考ではなく右脳を使うのだ。直観を使わずに、理性だけで解釈す
ると、頭だけでは筋道が通っていても、現実にそくわないという結果が出
る場合も多い。しかし、直観が理性に勝ち、感じ取ることが始められると、
われわれの判断はさらにリアルになる。
 
  この段階では新しい知識が現れる。体験的現実を知る。夢はもう夢で
はなく、それらはアストラル界の現実の体験であり、肉体はミイラのよう
にベッドに残し、目覚めた意識は自由に飛び立つー。すなわちあなたは、
タロットのプラクティスによって、アストラル・プロジェクション(幽体離脱)
をも知ることになるのだ。



力一ド21 変 換


 カード中央に立っているのは、世俗的なエゴイズムから自由になった
イニシエートである。肉欲はなく、ねたみも憎しみも虚栄もない。宇宙的
な意識に到達し、21=2+1=3、自分自身の内に三位一体を成したので
ある。
 
  左手でパワーの王杖を、右手にはアンク十字を持っている。十字の種
類はすべて、2つの力の交差、結びつき、そしてそれによって起こる活動、
動きを表すものである。彼はネコ科の動物の皮を身につけている。ネコ科
の中でも虎や豹は特に活動的知恵の象徴。
 
  彼の頭は上段(超意識)にまで突き抜け、下段と中段、地上の段階には
ワニ(エゴ、動物的情欲、欲望)が頭をもたげているが、彼はそれを無視し
ている。ワニは怒って男(われわれ)を見上げ、自分の元に呼び戻そうとし
ている。こんなときこそ、心を強く持って不動の姿勢で前を向き自己実現に
向かってポジティプに歩を進めよう。昔の悪癖や情欲、未練にはふり向か
ない。もしふり向いたりしたら敗北は致命的なものとなるだろう。

  なぜなら、最終的勝利にこれほど近づきながら、悪と誘惑の奈落に落
ちるとき、高さに比例して奥深くまで下降する
からである。われわれは終
局の自由の一歩手前にいながら、同時に多くの誘惑とワニ(エゴ)のまっ
ただ中に打たされている。ワニは最後の一瞬にわれわれが落ちるかもし
れないという希望をいだいて待っている。
 
  過信して「もう大丈夫」という油断は禁物。実際、多くの人々がもう失敗
することはないだろうと信じ、最終ゴールの手前で安心したほんの一瞬に
失敗している。イエス=キリストが十字架にかけられる前、40日間砂漠を
歩いて悪魔の誘惑にあったことを思い出そう。3つの誘惑(空腹、権力欲、
虚栄)があったが、彼はあとをふり向くことはせず、それらを克服したので
ある。勝利が近ければ近いほど、誘惑は強大なものになるのである。



カード22 帰 還


 大アルカナの最後のキーになった。九弦のハープをひく女がいる。

  彼女が座っている丘には、ひとつの円のまわりを回転する4つのハス
の花がある。

  彼女の頭には知恵の蛇と真実の羽根。

  彼女の上に4人のエジプトの神がいる。

  雄牛=土、ライオン=火、人間=水、ハヤプサ=空気を、それぞれ
意味する。

  これらは宇宙を形づくる4大要素だ。また元素でいえば、炭素C、窒素
N、水素H、酸素Oとなり、これら4つの要素が第5のエッセンスであるエー
テルを中心として回転している。
 
  中投から上段にかけて、白い蛇が黒い円を形づくっている。

  このとき、われわれは最後のミステり一に足を踏み入れ、叡智の世界
を見るのである。


資料室 File03「真理の道〜TAROT」