テサロニケの至聖なる大司教

グレゴリオス・パラマス

自然学、神学、倫理学、実践学についての

百五十章

バルラアムの害悪の浄化

朱門岩夫 訳

最終更新日19/01/22


 

訳者による緒言

 

 本作品は、「十四世紀のギリシア正教会の偉大な神学者、神秘思想家、霊性の師であった(1)」テサロニケの大司教、聖グレゴリオス・パラマス(1296-1359)の『百五十章』と呼びならわされている論考である。本作品は、パラマスの神学を体系的に叙述した作品として、比較的広く読まれている。本作品の現代語訳はいくつか出版されている。しかし日本語訳は、拙訳が初めてである。この邦訳は、訳者朱門岩夫が仕事の合間をぬって、苦心惨憺の末、仕上げられたものである。なお訳注は割愛した。

1) 岳野慶作「訳者まえがき」「聖グレゴリオス・パラマス」(J.メイエンドルフ著)中央出版社、1986年、1頁。

 

解説

 

 本作品の解説として、パラマス研究の大家J.メイエンドルフの、大作『グレゴリオス・パラマス研究入門』の巻末に記載された作品解説のなかから、いくらかを引用するにとどめておく。

 「教父文献から受け継がれた『章』という文学形式を、教育的作品のなかに一度も取り入れなかったビザンチンの霊的著作家はほとんどだれもいない。パラマスも、幾度かこれに訴えている。この『百五十章』が構成する、まぎれもなく自然学的、霊的、教義的な体系的著作は、静観主義神学者の晩年の作品の一つであると一般に考えられてきた。実際、パラマスは、1344年から1347年にかけての困難な時期に、本書を作成する時間を見出だしたのである。パラマスの大部分の著作は未刊のままであるため、この『百五十章』が、これまでのところ、数々の講話とともに、かれの神学を知らせる主要な源泉をなしている。霊的諸『章』をしたためたその他の大部分の著作家たちとは違って、パラマスは、本書において、なによりも教理学者として登場してくる。かれの考えは、バルラアムやアキンデュノスとの論争のなかですでに確立された諸定式のなかに表明されている。また、本書をよく理解するには、これに先立つ諸著作を参照すべきである。取り分け『三部作』を参照すべきである。しかし本書は、パラマスの明らかに論争的な諸著作とは異なり、わたしたちにかれの思想の一般的な哲学的枠組みを開示してくれるのであるから、そのかぎりで貴重であることに変わりはない(2)」。

2) J.Meyendorff, Introduction a l'tude de Gregoire Palamas, Paris,1959, pp.373-374. 

 

 注は省略しました。

 


 

内容

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