141 実体からエネルゲイアの存在することが知られるのではなく、むしろエネルゲイアから、実体の存在することが知られる。しかし、その実体が何であるかは知られない。それゆえ、数々の神学者たちによると、神も、実体からではなく、そのおん摂理から存在することが知られるのである。実にこの点で、エネルゲイアは実体と異なっている。なぜなら、エネルゲイアは知らせるものであり、他方、実体は、その存在することがエネルゲイアによって知られるものだからである。しかし、アキンデュノスの不敬虔の唱道者たちは、神のエネルゲイアが神の実体と少しも異ならないことを説得しようと躍起になって、認識可能性を排除しながら、神が存在することは認識できない、ということを熱心に我々に説いているのである。と言うのは、彼らも、そのことをまったく認識していないからである。しかしそのことを認識しない者は、この上もない無神論者であり、すべての人たちの中でもっとも思慮に欠けた者であろう。

 

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