143 偉大なバシレイオスは、その「論理要綱」の中で、神について発言を行なっている。彼は言う。「エネルゲイアは、働くおん方でもないし、働きによってもたらされるものでもない1)」。神的なキュリロスもまた、神についてみずから発言をして、「創造することは、エネルゲイアに属しているが、出産することは、本性に属している。そして、本性とエネルゲイアとは同じものではない2)」と神学的に語っている。神を戴くダマスケノスも、「出産は、神の本性の業であるが、創造は、神のご意思の業である3)」と言っている。さらに別の箇所で、同じダマスケノスは、こうも言明しているのである。「エネルゲイアと、エネルゲイアの能力を有するものとは、それぞれ別物である。すなわち、エネルゲイアは、本性の実体的な動きである。他方、エネルゲイアの能力を有するものは、そこからエネルゲイアが発出するところの本性である4)」と。このように、神のような教父たちによると、(神の)エネルゲイアは、多くの点で、神の実体とは異なっているのである。

 

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