15 視覚は、様々な状態に置かれた色や形から形相付けられ、嗅覚は臭気から、味覚は味から、また聴覚は音から、触角は場所に応じた荒さや滑らかさから形相付けられている1)。しかし感覚の中に生じる数々の形相付けは、物体に由来するものではあるが、しかし物体的なものではない。と言うのは、それらは、単純に物体に由来するのではなく、物体のもとにある数々の形相に由来しているからである。だからと言って、それらは、物体の形相と同じものなのではなく、それらの形相の数々の刻印であり、いわば物体のもとにある形相から分かたれずに分かたれるある種の映像のようなものなのである。そしてそのことは、視覚の場合に一層明らかであり、とりわけ鏡を通して見られるものの場合には明らかである。