19 精神が魂の表象能力に依拠し、それを通して諸感覚と結びつくと、複合的認識を生み出す。たとえば、人が、太陽が沈むころ、次のことを感覚を通して見る場合がそうである。すなわちそのとき、月も太陽に付き従い、太陽に向けられたわずかな部分が光に照らされる。次いで、引き続く日々の内に少しずつ(太陽から)離れ、また一層多くの光を受ける。そしてそれは状況が逆転するまで続く。また再び他方の部分が(太陽に)近付き、光はますます減少して、元に光を得た場所から離れたところに位置する、と言ったことである。その人は、それらの光景のあるものは、それ以前の光景として表象の中に所有し、またあるものは、常に感覚に現前する光景として所有しながら、精神を通してそれらの光景を検討し、感覚と表象と精神とによって次のことを理解したのである。すなわち、月は太陽から光を得ているおり、月の軌道は地球に近く、太陽の軌道よりもはるか下方にある、ということである1)。