44 天使たちは、創造主に仕えるように固く定められ、ただ支配されることだけをその取り分として割り当てられていている。しかし彼らが、自分たちに次ぐ(地位にある)者たちを支配することは、万物の支配者によってそのために遣わされる場合を除いて、命じられていなかった。しかし、それにもかかわらず、サタンは、傲慢にも創造主のご意志に逆らって、支配することを切望したのである。そしてサタンは、自分自身の地位を、一緒に離反した天使たちとともに捨て去ったので、本当に生命を与え、光を与える源によって正当にも見捨てられ、死と永遠の闇とを身に着けてしまった。ところが人間は、支配されるばかりでなく、地上にあるすべてのものを支配するように命じられていたので1)、悪の元凶者は、これを悪意のまなこで見つめ、あらゆる策術を駆使してこの人間から支配の権能を奪おうとした。しかし彼は、力ずくではそうすることができなかった。と言うのは、自由意志を備えた自由な理性的存在者をお造りになられた、すべてのものの支配者によって、そのことを妨げられていたからである。そこで彼は、支配の権能を奪うための助言を、欺瞞を働くことによって提供した。こうしてサタンは人間をだまし、いな、むしろより優れたおん方から与えられた掟や忠告をなおざりにして、それらを無に帰し、斥けるように、いや、むしろそれらに刃向かい、それらと反対のことを行なうようにと説得し、離反を共有する者として、さらに自分自身の永遠の闇や死にも、もともに与るようにと説き伏せたのである。

 

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