71 ルカによると、われらの主イエス・キリストは、神のおん指において悪霊どもを追い出すと言われている(Lc 11.20)。また、マタイによると、神の霊においてと、言われている(Mt 12.28)。しかるに偉大なるバシレイオスは、神のおん指は、霊の数々のエネルゲイアの一つであると言っている1)。したがって、もしもそれらの内の一つが聖なる霊であるならば、他の諸エネルゲイアもまた、たしかに聖霊であろう。それは、同じバシレイオスが、我々に教えたところでもある。しかしそれだからと言って、多くの神々や多くの霊がいるのではない。それらは、一つの霊の数々の発出であり、数々の顕現、また、数々の本性的なエネルゲイアなのである。そして、それらの各々を通して働く霊は、一つなのである。ところが、悪しき思いなしをする輩は、それらを被造物であると言って、神の霊を七重にも被造物に落としめている。だが、彼らは七倍に恥じ入るがよい。と言うのは、預言者は、再びそれらについてこう言っているからである。すなわち、｢主のそれらの七つのおん目は、全地を見渡すおん目である2)｣と。また(ヨハネも)黙示録の中でこう言っている。｢神から、また神の玉座の前にいる七つの霊から、またキリストから、恵みと平和とがあなた方にありますように(Ap 1.4)｣と。彼は、それらの諸霊が聖霊であることを信者の人たちに明瞭に証明しているのである。