79 数々の被造物を互いに比較すると、本性によって神に親密なもの、あるいは、無縁なものが語られる。それはすなわち、こういうことである。ただ精神によって捉えられる数々の知性的本性は、神性に親密なものである。しかし、感覚の下にある被造物は、(神に)まったく無縁である。さらに、それら以上に(神から)遠く隔たっているものは、まったく魂を持たず不動な被造物である、(といった具合である)。そういうわで、数々の被造物を比較すると、それらは、本性によって神に親密であるとか、あるいは、無縁であるとかが言われるのである。しかし、それらはどれも、本性上それ自体では神と無縁である。と言うのは、感覚および感覚の下にあるものが、知性的なものからどれだけ遠く隔たっているかをいえないのと同様に、知性的本性が神からどれだけ遠く隔たっているかをいうことは、(余りにも隔たりが大きすぎて)できないからである。したがって、もしも我々が、よい選択的意志から、数々の善き行いと振る舞いとを通して、神に近づかなかったとすれば――まことに嘆かわしいことだが――我々は、我々の本性において、はなはだしく神から遠く隔たっていることになる。

 

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