ラテン語に訳された

殉教者パンフィロスの

オリゲネスのための弁明書


 

 兄弟たちよ、あなた方がオリゲネスの理解を著しく欠いているために、彼について、他の幾人かの人たちが考えていることを、あなた方も考えても、あなた方は少しも驚かないと、私には思われる。彼らは、彼の思想の深みを洞察できないほどの無見識によって、あるいは、彼の諸々の言説を非難する熱意を抱くばかりでなく、それら(の言説)を読む人たちに対しても数々の激しい敵意を抱くほどの――その敵意は甚だしく、たとえば、参照したり確認するために、ギリシアの俗人たちの諸々の書物ばかりでなく、時には異端者たちの諸々の書物にまで目を通す人たちに付与されるのが常の容赦にさえ、その人たちはまったく値しないと考えるほど、彼らは頑なになっている――精神の貧しさによって、自分たちにだけ、言葉を吟味する見識が与えられるべきであると考えている。その結果、彼らは、ある人によって何事かが善にかなった仕方で言われたか否かを保持する術を知っており、すべての悪いものから身を引く術を心得ていると考え、オリゲネスの諸々の書物を読む人たちによってあの掟――すなわち、「善いものを保持し、すべての悪いものから身を引く[1]」すべてを知っている本物の両替商になりなさいと命じている掟[2]――が完全に排除されていると考える始末である。さらに、彼の諸々の書物を読む人が見出されたなら、それだけで彼らから、異端者たちの汚名が即座に浴びせられるのである。

 最後に、謙虚な生活と宗教的な意図を持った多くの人たち――彼らは、その人たちの内に罪を全く見出さない――に対して、もしも、話題になっている人物の諸々の書物に対するその人たちの関心が幾らかでも好意的になっているのを彼らが見たなら、ただそれだけで彼らは数々の敵意を抱き、彼らはさらに次のことを邪推する:彼の諸々の発言ばかりでなく彼が、その人たちによって、聖なる使徒たちや預言者たちの列に置かれていると[3]



[1] Cf.TH.5,21-22.

[2] 初代教会に流布していたイエスの口頭伝承を反映しているようである。

[3] オリゲネスの支持者たちにしばしば発せられた中傷を反映している。Cf.Rufinus, Apolgie contre Jerome, I,16.

 

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