受胎告知

  そして神々しい使徒がいっておりますように、「時の充満が訪れたとき[1]」、天使ガブリエルが、神によって遣わされ、この本当に神の娘であるお方[2]のもとに来たのであります。ガブリエルはかのじょに向かって、こういっております。「めでたし、聖寵充ち満てるおん方。主はおん身とともにまします」と。天使にる乙女[3]に向かって発せられた天使の挨拶は、すぐれて見事なものであります。なぜなら天使は、全宇宙の喜びを運んできたからです。ところが、そもそも男性との会話に慣れていないかのじょは、「この言葉に困ってしまいました」。かのじょは、乙女のを堅く守ることに決めていたのです。そこでかのじょは、「(あら?)このあいさつは一体どういうことなのかしら」と、心のなかで「思いめぐらしました」。続けて天使は、かのじょにこういっております。「マリア、怖れることはありません。あなたは神さまのみ前に恵みを得たのです」。そうです、マリアは本当に恵みを得たのです! なぜならかのじょは、恵みにふさわしいお方なのですから。そうです、マリアさまは恵みを得たのです! なぜならかのじょは、かずかずの恵みの業をもって地を耕し、たくさんの穂を摘みとったのですから! そうです! マリアさまは恵みを得たのです! なぜならかのじょはかずかずの恵みの種をまいて、恵みの穂を山々と摘みとったからです! そうです! マリアさまは恵みの[4]を見出したのです! なぜならかのじょは、二重の処女性という小舟[5]を無事に守ったからです! つまりマリアさまは、身体に優るとも劣らず、魂のを無傷に保ち、さらにこの魂の純潔によって、そのお身体の純潔をも保たれたのであります!

「さらにあなたは男の子を生むでしょう。そしてあなたは、その子の名をイエズスと名づけなさい」と、天使ガブリエルはいっております。ところでイエズスとは、救い主と解釈されます。ですからそれで、「かれは、ご自分の民を、自分たちのかずかずの不正な行いから救い出される[6]」のであります。これらの言葉に対しての知恵の宝物庫[7](であるマリアさま)は、なんとお応えになっているでありましょうか。マリアさまは、エバを見習うつもりはございません。むしろかのじょはエバの不注意をそうとなさっているのです。そして自然(の法則)をに取って、たぶんこんな風にして、天使の言葉にお応えになったのではないでしょうか。 

「どうしてそんなことがわたくしに起こるのですか。わたくしは男性を知らないのですよ」。あなたさまは、不可能なことをおっしゃいます。あなたさまのお言葉は、造り主がお与えになった自然の法則を破るものなのですよ。(でも)わたくしは、第二のエバと呼ばれて、造り主のみ旨を受け流すのはいやでございます。ですからもしもあなたさまが、神さま(のご意思)に反することをおっしゃっていないのでしたら、(このわたくしの)妊娠の方法をおっしゃってください。そしてこの困惑を解いてください。 

と、こんな風にマリアさまはお応えになったに違いありません。真理の天使はかのじょにいいます。「聖霊があなたにり、いと高きおん者の力が、あなたを覆うでしょう。それゆえ、生まれてくる聖なるお方は、神のおん子と呼ばれます」。ここに成し遂げられる出来事は、自然の諸法則に従うものではありません。しかし自然の造り主であり支配者であるおん方は、ご自分の思いのままに、自然の諸規則を変更することがおできになるのです。そこで、常に慕い求められ尊ばれるべき(この神の)おんみ名を、神聖な面持ちでんで聴いたマリアさまは、畏れと喜びに満ちた従順の言葉を述べたのであります。「ご覧ください。わたくしは主のはしためです。あなたさまのお言葉どおり、この身になりますように」と。



[1] Ga.4.4.

[2] h` o;ntwj qeo,paij

[3] h` u`pe.r a;ggelon

[4] ca,ritoj a;bussoj

[5] o`lka.j th/j diplh/j parqeni,aj

[6] Lc.1,31;Mt.1,21.

[7] th/j avlhqou/j sofi,aj o` qhsauro,j