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諸聖人と全教会の祈願

実にこのとき、実にこのときであります！ 人類の始祖であるアダムとエバは、歓声を上げ、両の唇をもって声高らかに叫びました。

わたしたちのためにもろもろの罪責を消してくだっさたおん娘よ、あなたさまは幸いです。あなたさまは、わたくしたちから滅びゆく身体を受け継いだにもかかわらず、わたくしたちのために不滅の衣服[1]をご胎内に宿したのです。あなたさまはわたくしたちの腰から存在[2]を受け取ったにもかかわらず、わたくしたちに幸福な存在[3]を与えてくださったのです。あなたさまは、かずかずの苦しみを滅ぼされ、死の温床を粉々に壊してくださったのです。あなたさまは太古の住まいをわたくしたちのために回復してくださったのです。わたくしたちは楽園を閉ざしてしまいましが、あなたさまは、生命の木へと通じる門を再び開いてくださったのです。わたしたちのせいで、もろもろの善いこと[4]から悲しみが入り込んでしまいました。しかしあなたさまのおかげで、これらの悲しみからもっと善いこと[5]がわたくしたちのところに訪れたのであります。

一体どうして汚れないおん娘が、死を味わうでありましょうか。あなたさまは、生命への架け橋、天へと至る階段となるでありましょう！ あなたさまの死は、不死へと至る渡し舟となるでありましょう[6]！ あなたさまは本当に幸せなお方！ この上もなく幸せなお方であります！ 一体、み言葉ご自身を差し置いて、一体だれが、(マリアさまの)このような働きを、あえてお許しになるでありましょうか[7]！

聖なる者たちの全合唱団も拍手喝采いたしました。

あなたさまは、わたしたちのかねてからの望みをかなえられました。あなたさまは待ち焦がれていた歓喜を、わたしたちにもたらされたのです。実にあなたさまのお陰で、わたくしたちは死のもろもろの束縛から解き放たれたのです。(マリアさま)わたくしたちのところに来てください。おおっ！ 生命を宿す神的な宝石！ (あなたさまを)恋い慕うわたくしたちのところにきてください！ わたくしたちの望みをかなえてくださったおん娘さま･･･！

また身体のなかに留まる数多の聖人たちも、やはり(わたくしたちに劣らず)かずかずの讃歌をもってあなたさまを引き戻そうとしたのです。かれらはこう申し上げておりました。

わたくしたちと共にいてください。わたくしたちの慰めであるおん乙女よ！ あなたさまだけが、この地上におけるわたくしたちの安らぎなのですから。(わたくしたちの)お母さま！ わたくしたちを孤児にしないでください！ わたくしたちは思いやりのあるあなたさまのおん子のために、戦いの矢面に立たされている[8]のですから。かずかずの苦労を忘れさせる憩い、かずかずの労苦を解消してくださる安らぎであるあなたさまが、わたくしたちのもとにいてくださったなら･･･。ああ･･･、あなたさまがお留まりになることをお望みになるなら、あなたさまにはそれができるのです。そしてあなたさまが立ち去ることを熱望されるなら、それを妨げるものはなにもないのです。もしもあなたさまが、神の幕屋であるあなたさまが、立ち去っていかれるのなら、わたくしたちもあなたさまとご一緒に立ち去っていきたいです！ わたくしたちは、あなたさまのおん子のゆえに、あなたさまの民と呼ばれているのでありますから[9]。わたくしたちは、ただあなたさまだけを、この地上に残された唯一の慰めとしているのです。あなたさまが生きるのであれば、あなたさまと共に生きること幸せ。あなたさまが死ぬのであれば、あなたさまと共に死ぬことは幸せであります！ ああ･･･、なぜわたくしたちは、あなたさまが死ぬならと申し上げたのでしょう。あなたさまにとっては、死さえも生命。いや、もっと優れた生命、この(世の)生命を比較を絶した仕方で凌駕生命なのであります！ もしもわたくしたちが、介護者[10]であるあなたさまを失ったなら、どうして生命は、わたくしたちにとって生きるに値するものとなりましょう！