宇宙の救い6
ああ、ヨアキムとアンナは、この上なく慎ましやかな「ひとつがいのキジバト[1]」であります。あなたがたは、自然の法則つまり慎ましさを守りながら、自然を超えるかずかずの事柄にふさわしいものとされたのです。実にあなたがたは、男を知らない神のおん母を、この宇宙にお生みになったのであります。あなたがたは、人間的な本性のなかで信心深く敬虔にお暮らしになりながら、天使たちを超え、いまや天使たちの上に君臨する娘をお生みになったのです。おお、いとも甘美で美しさの極みにある少女よ。ダビデのこの上もなく高貴でこの上もなく堂々たる王の系統から、かずかずの茨のただなかに、ああ白百合が、萌え出でたのであります[2]!
王国は、あなたさまをとおして、祭司職に恵まれ豊かになったのです!
あなたさまをとおして「律法の変更[3]」が行われ、文字の下に隠されていた霊があらわにされたのです。祭司職の位は、レビの部族からダビデの部族へと移ったのであります。ああ・・・!
ユダヤ人たちの茨のなかから、バラが咲いたのです。そしてそのバラは、ありとあらゆるすべてのものを神的な芳香で満たしてくださったのであります!
おお! アダムの娘! 神のお母さん! 腰と母胎は幸い!
バラはここから咲き出したのです!
この子を抱き上げた両の腕は幸い!
あなたの清らな口付けを楽しんだ唇は幸い!
しかもご両親の唇だけが・・・。なぜなら、あなたさまは、あらゆる点で永遠に、乙女だからであります。
今日は、宇宙の救いの元であります[4]。「全地よ! 主に向かって歓声を上げなさい! 歌い、喜び、楽を奏でなさい[5]」! あなたがたは、声を上げなさい! 「声を上げなさい! 恐れてはなりません[6]」! 神のおん母が、この聖なる羊小屋のなかで、わたくしたちのためにお産まれになったのです。世の罪を取り除く神の子羊が、かのじょから産まれるのをよしとされたのです。そのかのじょがお産まれになったのであります。
[1]
Lv.5,7;12,8;Lc.2,24.
[2]
Cf.Ct.2,1.2.
[3]
He.7,12.
[4]
この端的な言明は、ビザンチン典礼による。これによれば、乙女の誕生は、単に救いの訪れを知らせるばかりでなく、世界の更新を告げ知らせるものである。
[5]
Ps.98,4.
[6]
Is.40,9.