救いの歴史

  ああ! 終生乙女でまします少女[1]、ご懐妊のために男を必要とされなかあった娘よ! 実にあなたさまが宿されたおん方には、永遠のおん父がおられるのであります。ああ・・・地上に生まれた娘! 神によってもたらされた両のおん腕で造り主を抱かれた娘さま! 代々は、だれがあなたのお誕生を(最初に)みる栄誉に与れるのかと、互いに競い合っていたのです。しかし、「代々をお造りになられた[2]」神さまのあらかじめ定めておられたご計画は[3]、代々の争いを平定されたのです。そして、最後の代々が、あなたさまのお誕生を幸運にもお迎えする 最初の代々となったのであります。まことにあなたさまは、すべての被造物のなかでもっとも尊いものとなったのです。なぜなら、おん造り主は、ただあなたさまからだけご自分の分け前を、すなわち、わたくしたちの練り粉の初穂を、お受け取りになったからであります。そのおん肉は、あなたさまの肉からとられたものです。そのおん血はあなたさまのおん血から取られたものなのでした。そして神さまは、あなたさまの両の乳房から母乳を吸われたのであります。そのうえ、あなたさまの両の唇は、神さまの両の唇とひとつになったのであります。ああ・・・人知を超えたなんという驚異! 万物の神さまは、あなたさまのふさわしさをあらじめお知りになって、あなたさまを愛されたのでした。そしてあなたを愛しながらあなたをあらかじめお定めになり、「もろもろの時の終わりに臨んで[4]」あなたさまを存在へと導き出されたのであります。そして、あなたさまが神を出産するおん母[5]であり、み言葉であるご自分のおん子に母乳をお与えになるお方である[6]と告げられたのです[7]



[1] quga,trion aveipa,rqenon

[2] He.1,2;著者は、受肉の計画は、代々に先だって永遠に定められていたと述べようとしているのである。

[3] h` prowrisme,nh boulh. tou/ Qeou/

[4] 1 P.1,20; 「最後のとき」は、メシアの時代を意味している。

[5] Qeoto,koj mh,thr

[6] tiqhno,j

[7] 神の母が永遠に予定されていたことが、荘厳に宣言されている。Rm.8,29-30を参照せよ。