ヒエロニムスの序文

 

 親愛なる友よ、ディデュモスの判断によれば、使徒たちに次ぐ第二の教会博士[1]であるオリゲネスを、私がラテン人に身近なものとし、ローマ人に耳慣れたものにするというあなたのご要望は、とても大きなものであります。あなたもご存じのように、私は、読書がこうじてかかった目の痛みと、書記の不足  貧困がこの助けを奪ってしまいました  とに悩まされておりますので、あなたが正当にお望みになっていることを、あなたのお望みどおりの熱心さで果たすことは、私にはできません。ですから私は、もう随分と前に『エレミア書』の十四個の講話を翻訳した後、『エゼキエル書』に関するこれらの十四個の講話の翻訳をも間断的に口述して参りました、次のことに大いなる配慮をいたしました。すなわち、上述の人物の言い回しと言葉の単純さとを  諸教会に有益なのはひとえにこの単純さであります  以下の翻訳でも、修辞の一切の華美を廃して、保つようにすることであります。実際、私たちが望んでいるのは、事柄の実質であって、言葉を賛美することではありません。そして私は、聖書全体に関するオリゲネスの作品には、三種類あることを、簡単に指摘しておきます。その第一の作品が、ギリシア語でスコリアと呼ばれる抄本です[2]。オリゲネスはその作品の中で、曖昧に見えるものや何らかの困難を含むものを、概略的かつ簡潔に触れています。第二の作品は、講話の類であります[3]。目下の翻訳は、これに属しています。第三の作品は、彼自身が注解書と銘打っているものです。私たちはそれを巻と呼ぶことができるでしょう[4]。彼はこの作品で、自分の天才の帆をことごとく風に当てて、陸地から大海へと漕ぎ出しました。私が彼のすべての種類の作品を翻訳することを、あなたが望んでおられるのを私は存じております。私がこれを果たすことのできない理由は、上述の通りであります。しかし私は次のことをお約束いたします。もしもイエスがあなたの祈りに応えて、(私に)健康を与えてくださりますならば、すべての作品とは言わないまでも  そう言えば無謀なことになるでしょう  できるだけたくさんの作品を翻訳することにいたします。ただしそれは、私がしばしばあなたに提示しましたように、私は声を提供しますが、あなたは書記を提供してくださるという条件でのことでございます。



[1] 省略

[2] 省略

[3] 省略

[4] 省略

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