５　しかしエゼキエルはここで、私たちが聖書のなかにしばしば見ますこれら(三人の)人物について[1]、すなわち移動や死によって現在の生活から姿を奪われたこれら(三人の)人物について語ってはいないということを、(聖書の)他の個所からも私たちは証明してみることにいたしましょう。｢アナニヤ、アザリヤ、ミサエル｣とともに｢宦官たちの頭｣に渡されたダニエルは[2]、宦官でした。そして目下の個所で、｢ノアとダニエルとヨブは、自分たちの娘らを解放しない｣云々と言われおります[3]。たしかに私たちは、｢ノアに子どもたちが｣いたことを思い浮べることができますが、ユダヤ人たちが宦官であったと言い伝えている｢ダニエル｣に子どもたちがいたとどうして示されるのでしょうか。しかし、彼の魂が実り豊かで聖なるものであったので、そして神的な預言の言葉によって彼の魂がたくさんの｢自由人｣を産み出したので、｢あれこれの時代にノアやダニエルそしてヨブのような人たちがいたなら、彼らだけが救われる[4]｣と言われているのです。ですから私たちもまた、｢ダニエル｣になることができるのです。そして、私がすべての聖人を枚挙しなくとも、私が｢あなたがたは私の模倣者になりなさい[5]」と言うパウロの｢模倣者｣になり、パウロに加えられた燃灼を持ち、パウロと同じようにキリストと同じ姿を取るならば[6]、私はパウロになることができるのです。パウロはこのキリストの姿に促されて、慈しみ深い父として[7]、｢私の子らよ、私は、キリストがあなたがたのうちに形造られるまで、あなたがたを再び産む苦しみをなめるのです[8]｣と言っていました。しかしもしも私が外見的な違いから、パウロは私が魂のなかに持っているのとは別の姿を持っていたと言うなら、私が｢あなたはパウロの『子』、パウロの子孫である｣と言うとき、私は私自身を欺くことになります。あなたが使徒の｢子｣になることを驚かないでください。あなたは徳を持ってください。そうすればあなたはキリストの｢子｣になるでしょう。｢子どもたちよ、私はもう少しの間あなたがたっともにいる[9]｣と、キリストは言っています。そしてあなたがキリストのものになると、あなたは全能のおん父のものにもなるでしょう。なぜならおん父とキリストとは、唯一の結合された本性を持っているからです[10]。義人はこのことのために労苦し、自分のすべての努力をこのことに向け、｢ダニエルとヨブそしてノアとアブラハムの子ども｣として神による養子縁組に上り詰め、もはや人間の名前で呼ばれるのではなく、神の｢子ら｣という言葉で呼ばれることを目指しているのです。｢もしもあの三人の人物がいれば[11]｣(はこのような意味で理解できるでしょう)。聖霊が今でも｢ノアとダニエルとヨブ｣がいることを示すのに事欠くことはありません[12]。