12 「そして(神は)言った:我々は我々の像と似像に即して人間を作ろう。そして(人間は)、海の魚たちと、天の鳥たちと、動物たちと、一切の土地と、土地の上で這うすべてのものたちとに対する支配権を行使すべきである[1]」とあります。

私たちが上で説明した諸々の事柄に必然的に従って、私たちが述べたような人間が、上述の獣たちと鳥たちと這うものたちと四足獣たちとその他のすべてのものたちとの支配権を行使することを(神は)望んでいます。それらの事柄がどのようにして比喩を通して理解されるべきかを、私たちは説明しました――水、すなわち、彼の精神が霊的な感知を表明することを命じられ、そして、土地が肉の感知を表明することを命じられており、それによって精神がそれらを支配し、(逆に)それらがそれを支配しないようにすると、私たちが言ったとき。実際、神は、神の偉大な「制作物[2]」である人間――全世界はこの人間のために創造されました――が、私たちが上で述べたところの諸々の(生き)ものによって汚されず、(それらに)隷属しないばかりか、逆にそれらを支配することを、神は望んでいます。

では、人間がどのような生き物であるかを、私たちは()文書の諸々の言葉から考察しましょう。

他のすべての被造物は、神の命令によって成ります。()文書は次のように言っています:「そして神は言った:天蓋が成れ[3]」;「そして神は言った:天の下にある水は、一つの集まりに集められ、乾いたところが現れよ[4]」;「そして神は言った:土地は野の草を生み出せ[5]」と。(聖文書は)残りの諸々の箇所の中でもそのように言っています。しかし私たちは、神ご自身が作った諸々のものがどのようなものであるかを見ましょう。そして、人間の偉大さがどのようなものであるかを、それらを通して注意しましょう。

「元の中で、神は天と土地を作った[6]」とあります。同様に(聖文書は)、「そして彼は、二つの大きな発光体をを作った[7]」と言っています。そして今度はまた、「私たちは人間を作ろう[8](と言っています。それらだけにおいて、神ご自身による製作が指定されています。しかし、他の諸々の何物においても、(神ご自身による製作が指定されていません)。ただ天と土地、太陽と月および諸々の星、そして今度は人間が、神によって作られました。しかし、他のすべての諸々のものは、彼の命令によって作られたと言われています。ですから、あなたはそのことから、人間の偉大さがいかほどかをお考え下さい。実に人間は、それほどまでに偉大で、それほどまでに卓越した諸元素に等しくさています。実に人間は、「諸々の天の国」が約束されるが故に、天の名誉を持っています。また彼は、土地の名誉も持っています。なぜなら彼は、善き土地しかも「乳と蜜を流す生ける者たちの土地[9]」の中に入ることを期待するからです。彼は、太陽と月の名誉を持っています。なぜなら彼は、「神の国の中で太陽のように」輝く約束を持っているからです[10]



[1] Gn.1,26.

[2] Cf.Ep.2,10.

[3] Gn.1,6.

[4] Gn.1,9.

[5] Gn.1,11.

[6] Gn.1,1.

[7] Gn.1,16.

[8] Gn.1,26.

[9] Cf.Ex.3,8; 33,3 etc.

[10] Cf.Mt.13,43.

 

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