1 オスマの司教ディエゴは、配下の司教座聖堂参事会員を聖アウグスティヌスの会則のもとにおく

 

スペインの地に、オスマ司教区の司教であり、ディエゴとよばれる尊兄に価する生きかたをしている人があった。彼を高めていたのは、高貴なる血筋と聖書の知識であったが、さらに高めるのにカのあったのは清い生きかたであった。彼の心は神と強く結ばれていたので、唯一の望みは人びとの霊を征服することであり、自分自身をいとい、イエズス・キリストの利益のみを求め、神から与えられた才能を利子をつけてその主に返そうとしていた。彼は、清い生活の徳において秀でた人を自分の教区に呼びよせ、禄を与えようと熱心に探し歩いていた。彼の配下の者たちは徳よりは俗世に傾いて、その意志は軟弱であることが解っていたので、彼らに言葉をつくして説教をし範を示し、より宗教的な生活、称賛に価いする生きかたへと誘った。そののち何回も注意をうながし熱心に勧告をし、聖アウグスティヌスの会則のもとで修道生活をするように説得しようと試みた。

何回も説得を試みたので、何人かの司教座聖堂参事会員の反対があったけれども、ついに全員を彼の考えに同調させたのである。