13 教皇の使節に与えた忠告

 

その当時、教皇イノセントは異端のアルビ派の人たちに真実の信仰を広めるため、教皇使節をひとり含めたシトー修道会の十二人の神父を送っていた。彼らはその役目に大きな成果を挙げようとして、その地方の大司教・司教およびそのほかの高位聖職者たちと有効な布教方法についての会議を開いていた。

オスマの司教が集会の開かれていたモンペリエを偶然に通ったとき、討議がなされていた。人びとはみな、今そこに来た人が信仰において熟した完全な見張人である聖人だということを知っていたので、栄誉をもって迎え忠告を求めた。

彼は思慮深くて神の道をよく知っていたから、不注意な人びとを異端に落とし入れ、あざむいて彼らを楽しませる偽りの聖徳・工作・勧告・模範に注して、異端者たちの儀式と習慣を調べた。

使節たちの馬具・衣服の華美で高価なのを見て彼らにいった。「これではない。兄弟たちよ。私の判断では、道はこれではない。これでは、言葉よりむしろ模範にすがる人びとが信仰に戻ることは不可能に思われる。信心を口にし、清貧の行為と福音的な厳しさを偽って、純真な霊をそそのかす異端者を見よ。正反対のものを見せれば、建設できるものは少なく破壊するものは多く、得るものは何もないであろう」。

「釘はもう一本の釘で抜け。偽わりの徳には真実の宗教をぶつけよ。真剣に謙遜することによってのみ、偽りの使徒たちの思い上がった欺きを打ち破ることができる。功名に鼻を高くしている人びとの思い上がりを消すのに役立った徳や謹厳について述べている聖パウロは愚か者になことを強いられたのだ」。使節たちは彼に答えた。「それでは、善良なる司教よ。何をわれわれに忠告して下さるのですか」。彼は答えた。「私のすることを見、それをまねなさい」。