28 聖ドミニコにより予知されたモンフォール伯の死

 

一二一七年、トゥールーズの住民は、モンフォール伯に対する暴動を起こした。これはドミニコによって超自然的に予見されていた。多数の小鳥の宿っている枝のある大きくてすばらしい樹があり、その樹に亀裂が生じて小鳥が逃け去る夢を見た。神の霊に満ちたあの人物は、卓越した支配者、多くの寄るべなき人びとの保護者であるモンフォール伯がまもなく死亡するということを夢を通して見たのである。

聖霊に祈りをささげ、それから修道士を集めて、彼らにこう伝えた。小人数ではあるが、彼らを世界に送り出し、そこにはもう集団で住まぬと。

彼らは早々と分散を指示されたことに驚きはしたが、彼には神聖なある力があるということに確信を持っていたので、すべてがうまくゆくであろうしいう希望をもって、即座に同意した。ドミニコはまとめ役として、大修道院長を彼らに互選させる意図であったが、彼自身が大修道院長の言動を是正する権限を留保しておいた。そして会則により、兄弟マテオが最初で最後の大修道院長になった。というのはその後謙譲の印しとして、修道士を統轄する者を大修道院長ではなく総長とよぶことにしたからである。