35 レジナルド神父がローマにおいて奇跡的に聖トミニコによって迎えられたこと

同じ年、聖ドミニコがローマにいると、オルレアンの聖アントンの司祭長であるレジナルド神父が聖地に向かって乗船する意図でやって来た。これはその尊厳さと、パリにおいて五年間教会法典の教授を務めたことのある博学さで有名な人物である。

ローマに着くと重い病に襲われ、その間総長聖ドミニコはたびたび彼を見舞った。聖ドミニコがキリストにおける清貧を守ること、彼の修道会に入公することを熱心に勧めたので、彼は自由なるそして完全なる同意を与えて入会する誓いをした。

確かにあの肉体の苦しみと非常に危険な時機から解放はされたが、神の執り成しでそうなったのではない。

熱に燃えていると、天の女王・慈愛の母・童貞マリアが目の前に現われ、持って来られた香油を目・耳・鼻・口・胸・手・足にそそぎ、次のようにいわれた。 「平和の福音への準備として、おまえの足に聖油をそそぎます」。そして修道会の衣服一式を示された。

即座に健康を回復し、あまりにも突然に肉体の力を取り戻したので、ほとんど絶望視していた医者たちは驚嘆した。

この不思議を、いまだ生存している多くの人びとに聖ドミニコは語った。ある機会には私も出席していたが、その時はパリで大勢の人びとの前で述べられたのである。