38 レジナルド神父のパリへの移住

ドミニコはレジナルド神父をパリに移したが、彼の福音の言葉によってキリストのために生み出された子供たちは、早くも母の胸からひきさかれて悲嘆にくれた。

しかし、これらのことはみ摂理がなし給うたのである。すでに述べたように、神の僕・聖ドミニコが諸処の神の教会に修道士を送った時にも全く迷うことなく確信をもっていて、他人の意見に逆らってことを運んだので、聖霊が啓示を与えられたゆえに、未来に起こることをすべて知っているように思われた。だれがそれを疑い得るであろうか。最初は修道士は極めて少数で、学識あるものはほとんどなく純真なばかりであったので、彼らをほうぼうの教会に分散させることについて、同時代の人びとは慎重さを重んずる余り、このような方法は大事業を実現するよりは、すでに形成されているものを破壊してしまうであろうと信じていた。しかしドミニコは送られた人びとを祈りで助け、主の徳は彼らを増やしていった。