聖ドミニコの幼少から見られた善良さ

 

ゆりかごにいるときから驚異的な善良さが見られた。その驚くべき幼少時の善良さは、成年に達した時に実行に移した偉大な事業の前ぶれであった。

他の子供たちの遊びには入りもせず、またその辺を徘徊する無頼の徒の仲間にもならなかった。エザウのように彷徨することなく、反対に温和なヤコブのごとく母なる教会の聖なる胸にすがり、決して平穏な生家を棄てることはなかった。

人びとはここに老いており同時に若くもあるひとりの人物を見るであろう。生まれてからの年月のたっていないことは若さをあらわし、くらしかたの熟していることや生活態度の浮き沈みのないことは、老年を表わしていた。みだらな世界の快楽を避け汚れのない徳の道を歩み続けた。主の愛のために生涯を終えるまで、誇らかな貞潔の花を保ったのである。

その頃ぶどう酒を飲まぬことに決め、その後十年間アルコールを口にしたことはなかった。