49 彼の死について

 

現世における幸せな存在の終末が訪れて、修道士の祈りに囲まれながら主のもとに召された。息を引き取る前に病人の秘蹟を受けながら、彼は、修道士として声をあげて連祷を唱え祈りを捧げた。

それが終わると修道士たちに、深い信仰から出でくろ訓戒与えたので、彼らはたくさんの涙を流した。彼が死んだ時の人びとの歎き、貴婦人や寡婦りすすり泣き、彼の兄弟である修道士や友人の悲しみをだれが語り得るであろうか。彼に関する数多のことが思い浮かぶが、あまり話を長くしないため、私が知るに至った多くのことのうち、ひとつを語ればことたりるであろう。これは、信仰の厚い信頼するに足る人々が、真剣な告解の揚で語ったものである。