58 十字の印で雨を止めたこと

兄弟ベルトゥランについては、彼がパリへ移される時に述べたが、この人が私に語ったことがある。ある機会に聖ドミニコと旅をしていると、すさまじい嵐が頭上で荒れ狂い始めた。そしてドミニコ総長が十字の印をして、目の前の俄か雨を制止した時には、すでに道は水びたしであった。歩いている腕三本先には重い雨のカーテンが下がっていたが、彼の衣服のほんの先端にも雫ははねてはいなかった。

現在まで書かれてはいないが、彼の神聖なることの証であるさまざまな病いの治療をわれわれは知るに到った。