朱門岩夫

伝聖クリュソストモスの過越祭研究

 

1995年3月25日作成

終更新18/12/08

 

また私たちは、この救いが唯一の教会に属するものであり、普遍の教会と信仰を離れては、何人たりともキリストに与ることができず、救われもしないということを知っております

過越祭第一講話第十三節


 

緒言

 ここに訳出された講話は、コンスタンティノープルの聖クリュソストモス大司教(347-407)に帰された作者不明の五世紀前後の過越祭についての三つの講話である。本講話は、旧約聖書の『出エジプト記』の第十二章に記されたヘブライ語のパスカという言葉を、その語の本来の意味において、過越・移行と解釈することによって、オリゲネスに代表されるパスカ解釈の伝統に立っている。私たちは、本講話を読むことによって、オリゲネスが代表するこのパスカ解釈の伝統がどれほど深く、教会の信仰生活に刻み付けられているかを、いくらかなりとも知ることができるであろう。

 本講話は、訳者朱門岩夫が一ヵ月というかぎられた、しかしそれでいておそらくまたとないであろう余暇のあいだに、急ぎ仕上げたものである。そしてそれはまた、私が**で行なう最後の翻訳と予備研究でもある。このように拙訳は、急いで仕上げられたため、そこには誤字や脱字、不適切な訳語や不自然な言い回しが当然あろう。また、教理的に間違った論評があるかもしれない。しかしそれらは、私の本意ではない。そのような事例が見出だされる場合にはどうかご容赦願いたい。

 


 

目次

1.ヒッポリュトスとオリゲネス

2.作者

3.年代

4.内容と構成

5.写本