二人の強盗

54. さて、そのとき、二人の盗賊がそのおん方と共に(十字架の木に)張りつけにされました[1]。これら二人の盗賊は、二つの民を指し示す印を自分自身に帯びています。それらのうちの一方は、心を変えてうやうやしく振る舞い、心の底から罪を告白し、主に対して敬意を表明します。ところが他方は、「首を硬くして[2]」気を荒立て、主に対して反抗的な態度を取り、敬意を表すこともなく、以前からの罪に平然ととどまり続けたのであります。 2 あるいは彼らは、魂の二つの悟性能力[3]であります。それらのうちの一方は、昔の数々の罪を前にして心を変え、主に対して赤裸となり[心を開き]またした。それゆえそれは、悔い改めによる人類愛と報いとにふさわしいものとされたのであります。ところが他方には、釈明の余地がございません。なぜならそれは、心を変えず、最期まで強盗であったからであります。



[1] Cf.Lc.23,35-43.

[2] Cf.eg.Ex.9,35.

[3] logismoi,