昇天

61. また、(イエズスは神の)全き像を身にまとい、ご自身のうちに担いないながら、「古い人間[1]」を脱ぎ捨てて、(この神の像である人間を)天に属する人間[2]にお変えになりました。そして(ご自身と)一つに結ばれたこの像は、彼と共に諸々の天へと昇って行かれたのであります[3] 2 そしてこの偉大なる神秘を、すなわち、いまや神と共に人間が(諸々の天へと)昇っていくのを見た力の霊たちは[4]、歓喜の叫びを上げて、天の諸々の軍勢に命じます。「支配者たちよ、お前たちの扉をあげよ。永遠の扉よ、あがれ。栄光の王が入られる[5]」と。そしてこの(前代未聞の)新しい驚異を、すなわち、神と一つに結ばれた人間を眼の当たりにした軍勢は、叫び返してこう言われます。「その栄光の王とは誰か」。尋ねられた霊はたちは、ふたたび答えます。「諸々の力の主、このおん者こそ栄光の王、強く力があり、戦に強いおん方」と[6]



[1] Ep.4,22;Col.3,9.

[2] Cf.1 Co.15,47-49.

[3] 講話作者は、身体は復活と昇天に値しないとする人々に反駁している。キリストによってまとわれた身体は、神の像であり(cf.Gn.1,26-27)、「古い人間」から「天に属する人間」に変えられている。

[4] ai` duna,meij

[5] Ps.23,7-8.

[6] 講話作者は、ヒッポリュトス(fragment cité dans l'Eranistes sous le tetre:Du logos sur le psaume XXIII,Achelis,p.147,7-13)――彼自身、エイレナイオスに着想を得ている(Dem.,84:P.O.,XII,794)――に着想を得て、キリストの昇天に驚く天使たちによって交わされる問答を配している。