結び

62. おお、何という神秘な合唱!おお、何という霊的な祭典!ああ、何という神的なパスカでしょうか!神的なパスカが諸々の天から地上に降りてこられ、地上から再び諸々の天へと昇っていかれたのであります[1] 2 おお、万民に共通の祭日!、宇宙的な大祭典!、ああ、万物の歓び、誉れ、糧、ご馳走!闇に満たされたしはこれによって滅ぼされたのであります。そしてこれによって、生命がすべてのもに及んだのであります。諸々の天の扉は開かれ、神が人間として顕れ、人間が神として(天へと)昇っていかれました。黄泉の扉が、このおん方によって打ち砕かれ、鉄のかんぬきが壊されました[2]。そして地の下にいた人々は死者のうちから復活して福音を宣べ伝え、この地上から天に満ち満ちている者たちのもとに、合唱隊が配属されたのであります。 3 ああ、神的なパスカ!神を狭いところに押し込めず、いまや諸々の天から霊的に(私たちに)結び付けたパスカよ!数々の婚礼の中でも偉大な婚礼が、この神的なパスカによって、花嫁たちに満たされたのであります。そしてすべての花婿が、婚礼の衣服をまとっています。婚礼の衣服を着ていなくて外へ放り出される人は誰もおりません[3] 4 おお、パスカ!、新しい松明の光[4]、乙女の灯火の輝き[5]!諸々の魂のあかりは、このパスカのおかげで、もはや消えることがありません。実に、恵みの炎が、神的にそして霊的に、身体と霊とにおいて、すべての人にもたらされたのであります[6]。しかもこの恵みの炎は、キリストさまの香油によってまかなわれているのであります。



[1] 講話作者は、パスカを連呼しながら、「私たちのパスカ」キリストに呼びかけている(1 Cor.5,7)

[2] Cf.Ps.106,16;Ib.38,17.

[3] Cf.Mt.22,1-14.

[4] この節で用いられている幾つかの語句は、「新しい光」で始まる過越祭の典礼を暗示している。これまでに知られている最も古いこの証言は、五世紀半ばのアルメニア典礼の朗読要請書である。これは、より古いギリシア語文書に基づきながら、エルサレムの聖復活教会で行われていた慣行を次のように伝えている。「金曜日の晩、聖復活教会の前でろうそくが点けられる。まず最初に司教が詩編第113番を唱える。次いで司教は三つのろうそくを点す。次に助祭たちが、そして全会衆が・・・」。「新しい光」は、世を照らす復活したキリストの象徴である。

[5] Cf.Mt.25,1-13.

[6] 聖香油の塗布を指す。これによってキリスト者は、油注がれたキリストとなる。