1 律法とは何か

9.  モーセを通し(て与えられ)た律法は、多種多様でしかも必要な教えの集成、現世に生活する善意ある人たちに広く有益なすべてのものの寄せ集め、天における生活の神秘的な写し、灯火、灯明、光、天の松明の数々の尊い照り返しであります。 2 モーセを通し(て与えられ)た律法は、敬信の規範であり、節度ある生活の指令、最初の罪の禁令、来るべき真理の判じ物。 3 モーセを通し(て与えられ)た律法は、「神の指で[1]」書き記されたエジプトの過失の懲らしめであります。なぜならいと高きおん方は、何よりも、謙虚な人たちのためにましますからであります。 4 モーセを通し(て与えられ)た律法は、敬信の創始者であり正義の導き手、目の不自由な人たちを照らす光り、無分別な者たちの譴責、幼子たちの「養育係[2]」、向こう見ずな者たちを縛る縄目、頑固者たちのくつわ、そして不揃いな者たちを整列させるくびきであります。 5 モーセを通し(て与えられ)た律法は、キリストのみ使い、イエスの先駆け、大いなる王の使者にして預言者、賢者の学校、必須の錬成所、現世の教育科目、一定期間内の教え、過ぎ去り行く神秘であります。 6 モーセを通し(て与えられ)た律法は、来るべき恵みの象徴的で謎に満ちた梗概、つまり、数々の像を通して来るべき真理の実現を物語る要約、数々の捧げ物[生け贄]を通して(来るべき)生け贄を、諸々の血を通して(来るべき)おん血を、数々の祭壇を通して(来るべき)大祭司を、神殿を通して(来るべき)神聖の住まいを[3]、そして祭壇の火を通して天からの全き「世の光[4]」を物語る梗概なのであります。



[1] Ex.31,18.

[2] Ga.3,24.

[3] Cf.Col.2,9.

[4] Jn.8,12.