ですからあの民も病を患っていたのです。神の民と言われるこの民のなかにはさまざまの病がありました。神はかれららのために預言者たちを医者として派遣しました。エレミアも、これらの医者の一人でした。エレミアは、罪を犯した下人たちを咎め、悪いことをする者たちを回心させようと望みました。しかし言われたことを聞くべきであったかれらは、この預言者を責め、かれらと似たり寄ったりの裁判官たちの前で糾弾しました。そして預言者は、自分の預言によってできるだけ治療を施したのに不従順のゆえに癒されなかった人たちによって絶えず裁判にかけられたのです。エレミアはこれらのことを前にしてあるとき言いました。「そしてわたしは言った。わたしは主の名を決して語らない。決してその名を挙げない。そしてわたしの骨のなかに燃え上がる火のようなものが生じた。わたしは四方から落とされ、耐えることができない[1]」と。またあるときは、自分がいつも裁かれ罵られ非難され偽証さているのを見て、こう言っています。「ああ、わたしは禍だ。母よ、わたしをどのような人として生んだのですか[2]」。かれは、裁くのではなく「裁かれる男」と言っていたのです。かれは、異議を申し立てるのではなく「全地で異議を申し立てられる男」と言っていたのです[3]。そして病を患っていた人たちが、医者として善いことを忠告していたかれの話を聞かなかったので、かれは、「わたしは役立たなかった」と言いました。また、かれは霊的な金銭を貸し与えたのに、かれの話を聞いて益を得るようにと、かれが話した相手であるかれらは、話を聞こうとしませんでした。それでかれは、「わたしは誰の債権者にもならなかった。また、わたしは債務者にもならなかった[4]」と言いました。



[1] Jr.20,9.

[2] Jr.15,10.

[3] Cf.Jr.15,10.

[4] Jr.15,10.

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