次に彼らは、(罪の)告白をして次のように言っております。「私たちは、自分たちの恥辱のなかに横たわりました」と。そして「私たちの辱めが、私たちを覆いました[1]」と言っています。私たちはしばしば、主に向き直らない人々の顔に掛かる覆い[2]についての話をいたしました[3]。この覆いのせいで、「モーセ(の書)が朗読されても[4]」、罪人はそれを理解しません。「覆いがその人の心に掛かっている[5]」のです。その覆いのせいで新しい契約(の書)が朗読されても、聞く人はそれを理解しないのです。その覆いのせいで「福音は、滅びる人々には隠されているのです[6]」。それで私たちは(以前)、この覆いについて、恥辱は覆いであると言ったのです。私たちは、恥辱の業を持っているかぎり[7]、『詩編』第四十三編のどこかで言われたように、明らかに私たちは覆いを持っているのであります。その『詩編』では、「そして私の顔の恥辱は、私を覆った[8]」となっています。私は、恥辱の業を持たないものは、覆いを持たないと述べました。これは、パウロの言ったことでした。彼は、こう言っておます。「私たちは皆、顔の覆いを取り除彼て、主の栄光を鏡のように照り返す[9]」と。ですから、パウロは、顔に覆いを掛けられていなかったのです。彼には、恥辱の業がありませんでした。パウロのようでない人が、顔に覆いを掛けられているのです。ですから、あの『詩編』第四十三編で、「私の顔の恥辱が、私を覆った[10]」と言われたのと同じように、ここでも、「私たちの辱めが、私たちを覆いました[11]」と言われているのであります。私たちは、不名誉な業を行なっているかぎり、私たちは、私たちの心に覆いを掛けられているのです。もしも私たちが、不名誉の覆いを取り除彼ることを願うなら、私たちは、名誉ある業に至り、救い主の言われたあのお言葉に思いを馳せなければなりません。それは、「すべての人がおん父を敬うように、おん子を敬うために[12]」というお言葉です。また、私たちは、使徒の言われたことにも思いを馳せませましょう。「あなたは、律法に違反することによって、神を侮辱しているのです[13]」。正しい人は、「おん父を敬うように、おん子を敬います」。私が、おん子を侮辱すると、私がおん父やおん子を侮辱するその侮辱は、私の顔に掛かる覆いとなるのです。そして私は、「侮辱が、私たちを覆いました[14]」と言うのです。ですから、私たちは、恥辱の業や不名誉な行いによって覆い被さった覆いを理解したのですから、その覆いを取り除くようにいたしましょう。他の誰でもありません、覆いを取り除くことは私たち自身にかかっているのです。すなわち、「モーセは、主に向き返るたびに、(顔の)覆いを取り除いた[15]」のであります。あなたは、モーセが民を代表していることにお気づきになりましたか。彼が、主の方に向いていないかぎり    なぜなら彼は、主に向いていない民の象徴なのです    彼は、自分の顔に覆いを掛けていたのです。また、彼が主の方に向いていたときには    彼は、主の方に向き直った人々の象徴ですから    そのとき彼は、「顔の覆いを取り除いた[16]」のです。しかも神は、モーセに「覆いを着けよ」と命じるようなことはありませんでした。    実際、神は、モーセに覆いを着けよと言ったりしませんでした。むしろモーセは、民が自分の栄光を見ることができないのに気づいて、「(自分の)顔に覆いを[17]」掛けたのです。彼は、「主の方へ向き直るたびに[18]」、神が「覆いを取り除け」と言ってくださるのを待っていたのではありませんでした。



[1] Jr.3,25.

[2] 2 Co.3,16.

[3] Cf. De princ.I,1,2;Hom.Ex.XII,1; Hom.Nombr.VII,2; Hom.Jos.IX,4; Hom.Lc.XXVI,1; Hom.Rom.5,2(éd.Scherer p.204); Com.Matth.X,14; Com.Matth.lat.138; C.Cels IV,50; etc. Cf.H.Crouzel, Origène et la connaissance mystique,Paris, 1961, p.419.

[4] 2 Co.3,15.

[5] 2 Co.3,15.

[6] 2 Co.4,3.

[7] Cf.2 Co.4,2.

[8] Ps.43,16.

[9] 2 Co.3,18.

[10] Ps.43,16.

[11] Jr.3,25.

[12] Jn.5,23.

[13] Rm.2,23.

[14] Jr.3,25.

[15] Cf.Ex.34,34; 2 Co.3,16.

[16] Ex.34,34.

[17] Ex.34,35.

[18] Cf.Ex.34,34.

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