第十四講話

ハツォルの王ヤビンについて、そして、イスラエルに対抗して結集した他の王たちについて[1]

 それらの文書を、私たちの主イエス・キリストの到来以前に、肉に即するあのイスラエルが読むと、彼はそれらの中に、諸々の戦いと血の流出以外のものを何も理解しませんでした。その結果、彼らの諸々の魂は過激な残虐さへと鋭くされ、常に諸々の戦争と諸々の騒乱を糧としていました。しかしながら、私の主イエス・キリスト――使徒に従えば、彼ご自身が「私たちの平和[2]」です――の現存が人間的な諸々の心に知識の平和的な光を注入した後は、彼は私たちに、諸々の戦いの朗読そのものから平和を教えます。実際、魂からその諸々の敵である諸々の罪と諸々の悪徳が追い出されるなら、魂に平和が回復されます。したがって、私たちの主イエス・キリストの(伝えた)伝統に従えば、私たちはそれらを読むと、私たちも武装し、戦闘へと奮い立ちます――ただし、「私たちの心から進出する敵たち、すなわち、諸々の悪い思い、諸々の盗み、諸々の偽証、諸々の冒瀆[3]」、その他それに類する私たちの魂の敵対者たちに対して。私たちはその魂から、その()文書が述べることに従えば、できるならば、「助かる者たちや、息する者たちを一人も残さない[4]」ように試みねばなりません。実際、もしも私たちがそれらの敵たちを掌握したなら、私たちは「空中の諸々の権能」をも効果的に掌握するでしょうし、私たちの内部で諸々の悪徳の諸々の座の上に位置づけた自分の王国から空らを追放するでしょう。

以前の諸々の朗読の中でイスラエルの王は、自分とともに、他の四人の王たちをイエスに対して、そして、イスラエルの子らに対して集めていました。しかし今はもう、一人(の王)が四人(の王)や五人(の王)を集めるのではありません。あなたは見てください、一人()がどれほど多くを集めるかを。(聖文書は)言っています:「ハツォルの王ヤビンは(そのことを)聞くと、アモリ人たちの王ヨバブの許に、そして、シムオンの王の許に、そして、アクシャフの王の許に、そして、大シドンの周辺と山々にいた王たち、そして、キネレトの向かいのアラバの中にいた王たち、そして、諸々の平地にいた王たち、シェフェラの中にいた王たち、そして東方の沿岸人たちの中にいたカナン人たちの許にいた王たち、そして沿岸人たちであったアモリ人たちの許に、ヘト人たちの許に、ペリジ人たちの許に、山岳人たちの中にいたエブス人たちの許に、そして、荒地ミツパの下にいたヒビ人たちの許に、(使いを)送った。そして、彼らと、彼らの王たちが彼らとともに出ていった。それはまるで、多さにおいて海の砂のようだった。そして、馬たちも四頭立ての戦車も非常に多かった。そして、それらのすべて王たちは集まり、イスラエルと対戦するためにメロムの水の許に一つに結集した。しかし主は、イエスに言った:「あなたは、彼らの面前で恐れてはならない。なぜなら私は、明日の今頃、イスラエルの面前で傷つけられた彼らを(あなた方に)渡す。あなたは彼らの諸々の馬(の脚)の筋を切り、彼らの諸々の戦車を火で焼き払わなければならない。そして、イエスと、戦士たちの一切の民は彼とともに、メナムの水の許で彼らの上に来た。そして、彼は一気に、山の中で彼らの上に襲いかかった。そして主は、彼らをイスラエルの諸々の手の中に渡した。そして彼らは、彼らを切り殺しつつ、大シドンまで、ミスレフォト・マイムの中の水の許まで、そして、東に向かってはミツパの平原まで(彼らを)追跡した。そして、彼らは彼らを殺戮し、彼らの中で(殺戮を)逃れる者が残らないようにした。イエスは彼らに対して、主が彼に命じたようにした。彼は、彼らの諸々の馬(の脚)の筋を切り、彼らの諸々の戦車を火で焼き払った。そして、まさにその時、イエスは引き返し、ハツォルを占領し、その王を剣で殺した[5]」。

 あなたは、次のことを見ます:どれほど多くの敵対する諸々の力と最悪の悪霊どもの群れが、イエスとイスラエル的軍隊に対して鼓舞されるかを。それらすべての悪霊たちは、私たちの救い主なる主の到来の前に、静かにそして無難に、諸々の人間的な魂を所有し、それらの諸々の精神と諸々の身体の中で君臨していました。しかし、「神なる私たちの救い主の恵みと憐れみが諸々の土地に現れ[6]」、私たちがこの世界の中で敬虔かつ神聖に、そして一切の悪の接触から切り離されて生き、一つひとつの魂が自分の自由と「神の像[7]」――その像の中で始めから(魂は)創造されました――を受け取るように私たちに教えたとき、まさにその理由で、それらの(魂の)古い不正な所有者たちによって諸々の戦いと戦闘が引き起こされます。そして、もしも一番目の者たちが圧倒されると、もっと多くの者たちが後に立ち上がり、一団となり、悪のために共謀します。彼らは常に善から遠く隔たっています。そして、もしも彼らが二番目に打ち負かられたなら、再び第三に他のもっと悪い諸々の力が立ち上がります。そしておそらく、神の民が増え、もっと成長し増加すると、彼らも数を増して戦うために共謀するでしょう。



[1] Cf.Jos.11,1s.

[2] Ep.2,14.

[3] Mt.15,19.

[4] Cf.Jos.10,40.

[5] Cf.Jos.11,1-10.

[6] Tt.2,11.

[7] Gn.1,27.