(聖文書は)言います:「そして次のことが起こった。イエスがエリコの中にいたとき、諸々の目によって見回すと、人間が彼に対して立っているのを見た。そして、むき身の剣が彼の手の中にあった。そして、イエスは近づいて、彼に向かって言った:「あなたは、私たちのものか、それとも、敵たちのものか」と。それに対して彼は言った:「私は、主の力の軍隊の長である。いま、私は着いた」と[1]」。

ですから彼は、諸々の目によって見回すと、主の軍隊の長を見ました――あたかも彼が、それ以前に見回したことがなかった者として。そして、そのとき彼は、主の軍隊の長を見るべくして(見回しました)。しかし、イエスが見たとき、彼は彼を普通の人間として見ず、むしろ、彼が或る力であると理解しました。しかし、見られている力が、諸々の神的な力の一つなのか、それとも、敵対する諸々の力の一つなのか、まだ定かでありません。それゆえ彼は質問し、尋ねて言います:「あなたは、私たちのものか、それとも、敵たちのものか」と。それに対し彼は言います:「私は、主の力の軍隊の長である。いま、私は着いた」と。そして、そのことを聞くと、「イエスは崇拝し、そして、「主よ、あなたはあなたの僕に何を命令しますか」と言いました[2]」。

イエスがそのことを通して私たちに教えることは何でしょうか。それは、疑いもなく、使徒が言っていることです:「あなたがは、一切の霊を信じようとしてはなりません。あなた方は、それが神に由来するかどうか試しなさい[3]」と。ですからイエスは、彼[4]が神に由来することを知っていたばかりでなく、彼が神であることを知っていました。なぜなら(イエスは)、彼が神であることを知らなかったなら、崇拝しなかったからです[5]。実際、私たちの主イエス・キリストでなければ、他の誰が主の諸々の力の軍隊の長でしょうか。実際、天の一切の軍隊――天使の(軍隊)であれ、大天使の(軍隊)であれ、諸々の支配であれ、諸々の主権であれ、諸々の権能であれ[6]――、それらすべては、彼によって作られ、(軍隊の)長としての彼の下で軍役に就きます。彼は、長たちの長であり、長たちに諸々の主権を授ける方です[7]。実に彼は、福音の中で次のように言っている方です:「あなたは、十の町の上で権能を持つ者になりなさい[8]」。そして他の人に言います:「あなたは、五つの町の上で権能を持つ者になりなさい[9]」と。彼は、王権を受けて、戻ってきた方です[10]



[1] Jos.5,13-14.

[2] Jos.5,14.

[3] 1Jn.4,1.

[4] 文脈上、「主の軍隊の長」である。

[5] Cf.Jos.5,14.

[6] Cf.Col.1,16.

[7] Cf.Col.2,10.

[8] Lc.19,17.

[9] Lc.19,19.

[10] Lc.19,15.