第十講話

(父ザカリアは)聖霊に満たされて預言した」と書かれていることから、「(幼子よ、あなたは)主に先駆けて進み、その道を整える」と言っている箇所まで[1]

 聖霊に満たされたザカリアは、二つの預言を一般的に告げています。一つはキリストについて、もう一つはヨハネについてです。このことは、彼の言葉から明らかに証明されます。なぜなら彼は、あたかもすでに現前して、世の中に暮らしているかのようなキリストについて語り、次にヨハネについて語っているからです。実際ザカリアは、聖霊に満たされて預言し、こう言っています。「イスラエルの神である主はたたえられますように。なぜなら主は、その民を訪れてあがなったから[2]」と。神は訪れて、その民をあがなおうとお望みなりました。そこでマリアは、み使いが彼女に語った後、三か月間、エリサベツとともに暮らしたのです。それは、現前する主が言語を絶した力によって、私たちが先日お話しましたようにヨハネを教育するばかりでなく、いま福音の言葉が言明しておりますように、ザカリアをも教育するためでした。



[1] Lc.1,67-76.

[2] Lc.1,68.

 

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