第十六講話

「この子の父と母は、彼について言われたことに驚いた」と書かれていることから、「見よ、この子は、イスラエルにいる多くの人々の滅びと立ち直りのために置かれた」と言っている箇所まで[1]

 「そして彼の父と母は、彼について言われたことに驚いた[2]」と(福音記者は)言っています。私たちは、イエスの誕生において彼に関して言われたことや書かれたことを一つに集めてみましょう。そうすれば私たちは、それらのいずれもが驚嘆に値するものであることを知ることができるでしょう。それゆえ父も――実際ヨセフは、養父となったがゆえに、そのように呼ばれます――母も、「彼について言われた」すべてのことに驚きました。では、幼児イエスについて随所で言われていることとは、いったい何でしょうか。「羊飼いたちがその地方にいた。彼らは野宿をして、夜どおし群れの番をしていました[3]」。するとみ使いが、まさにイエスの誕生の時に訪れて、彼らに言います。「私は、大きな喜びをあなた方に告げる。あなた方は行きなさい。そうすればあなた方は、布切れに包まれた幼児が、飼い葉おけに置かれているのを見つけるでしょう[4]」。そしてみ使いがまだこの言葉を言い終わらないうちに、なんと「天の大軍」が賛美し、神をほめたたえ始めました[5]。羊飼いたちは、この光景を戦きながら眺めていましたが、「み使いが彼らから去ると、『私たちはベツレヘムに行って、主が私たちに知らせてくださった出来事を見よう』と互いに言いました[6]」。こうして彼らは行って、幼児を見出しました。そして彼らも、(イエスの)両親と同様に、行われた数々の事柄に驚いたのでした。



[1] Lc.2,33-34.

[2] Lc.2,33.

[3] Lc.2,8.

[4] Lc.2,10.12.

[5] Cf.Lc.2,13.14.

[6] Lc.2,15.

 

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