第三十一講話

救い主の第三の誘惑について[1]

 あなた方は聖書を検討しなければなりません。それは、単純であると思われている諸々の事柄の中に、決して些細なものではない諸々の神秘を、あなた方が見出すためです。私たちは、今日聞いた福音の朗読の始めの部分を検討して、隠れていた事柄が明らかになるようにしましょう。悪魔はイエスを「エルサレムに連れて行った[2]」と言われています。悪魔が神の子を導き、神の子が従っていくとは信じ難いことです。明らかにイエスは、試練に自発的に進む競技者のように従いました。彼は、試練を恐れず、狡猾極まりない敵の罠をものともしませんでした。彼はまるで次のように言っているかのようです。「あなたの望む所に導きなさい。好きなように試みなさい。私は試みに進んで身を委ねよう。あなたのどんな唆しも、私は耐え忍ぼう。あなたのどのような試みにも、私は身を委ねよう。あなたは、私がそれらすべての中で強いことを見出すだろう」と。



[1] Lc.4,9-13.

[2] Lc.4,9.

 

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