そこで(悪魔は)、「彼をエルサレムに連れて行き、神殿の尖塔の上に置いて、彼に言った。『もしもあなたが神の子なら、ここから下に身を投げてみよ』と[1]」とあります。悪魔は、彼を頂上に、神殿のいちばん高い所に連れていき、そこから飛び降りるように促しています。しかし彼は、偽ってこのことを提案し、栄光の開示の下に別のことを狙っていたので、救い主は次のように言っています。「『あなたはあなたの神なる主を試みてはならない[2]』と書かれている[3]」と。同時にあなたは、悪魔がどのように誘惑しているかをお考えください。悪魔は聖書からの引用によってしか敢えて試みません。そして詩篇から証言を引いて、次のように言っています。「もしもあなたが神の子なら、下に見を投げてみよ。聖書にはこう書かれている。『(神は)あなたのために、ご自分のみ使いたちに命じた。そしてみ使いたちは手であなたを支え、あなたの足が石に躓かないようにするだろう[4]』と[5]」。悪魔よ、あなたはそれらのことが書かれているのをどこから知ることができたのですか。一体あなたは預言書を読んだことがあるのですか。あるいは神の諸々のみ言葉を知っているのですか。あなたは黙っているかもしれません。それなら私があなたに代わって答えましょう。あなたは読みました。しかしそれはあなた自身が、諸々の聖なる事柄の読書によってより善くなるためではなく、文字の友となっている人たちを、単純な文字によって殺すためです。もしもあなたが(聖書以外の)他の書物からの引用によって語ることを望むなら、あなたは救い主を欺くことはできず、あなたの数々の主張も権威を持ち得ないことを、あなたは知っているのです。



[1] Lc.4,9-10.

[2] Dt.6,16.

[3] Lc.4,12.

[4] Ps.91(90),11-12.

[5] Lc.4,10-11.

 

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