第三十二講話

「イエスは霊の力において戻った」と書かれていることから、「そして、会堂にいたすべての人の目は、彼に注がれた」と言っている個所まで[1]

 まず「イエスは、聖霊に満たされて、ヨルダン川から戻った。そして霊によって四十日の間、荒れ野で導かれた[2]」とあります。彼が悪魔によって試みられるときに一回、そして彼が引き続いて悪魔と戦うときに一回、合わせて二回だけ、霊(という言葉)が何の修飾語もなく用いられています。しかし聖書が言及している三つの誘惑を、イエスが戦いによって克服したとき、あなたは何が霊について判然と、そして慎重に用いられているがご覧ください。「イエスは、霊に力において戻った[3]」と(聖書は)言っています。力(という言葉)が付け加えられています。なぜなら彼は、龍を踏みつけ、誘惑者を接戦によって打ち負かしていたからです。それで「イエスは、霊の力においてガリラヤの地に戻っていったのです。そして彼の評判はその周囲の地域全体に広まりました。そしてイエスみずから、彼らの諸会堂で教え、すべての人によって賞賛されました[4]」。



[1] Lc.4,14-20.

[2] Lc.4,1-2.

[3] Lc.4,14.

[4] Lc.4,14-15.

 

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