第三十四講話

 「先生、私は何をすれば、永遠の命を得るでしょうか」と書かれていることから、「行って、あなたも同じようにしなさい」と言っている個所まで[1]

 律法の中では多くのことが命じられているのに、福音の中で救い主は、次のことだけを定めています。それは、ある種の摘要のようなもので、それを守る人たちを永遠の命へと導きます。律法の博士は彼に尋ねて、こう言っています。「先生、私は何をすれば、永遠の命を得るでしょうか[2]」。これは、今日、あなた方に朗読されたルカによる福音の一節です。これに対してイエスは、答えます。「律法には何と書かれているか。あなたはどのように読むか。あなたは、あなたの心を尽く、魂を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神なる主を愛しなさい。そしてあなたの隣人をあなた自身のよう愛しなさい[3]」。そして、こう言っています。「あなたは、よく答えた。そうしなさい。そうすればあなたは生きるだろう[4]」と。律法の博士が尋ね、救い主のみ言葉が関わったのは永遠の命であることに疑いはありません。同時に私たちは、律法の中で、私たちが神を愛するようにという定めを明らかに教えられています。『申命記』では、次のように言われています。「聞け、イスラエルよ。神なる主、あなたの神は、唯一である」。「あなたは、あなたの神なる主を精神を尽くして」、云々、「愛しなさい」。そして「隣人を、あなた自身のように愛しなさい[5]」と。そして救い主は、これらについて証して、次のように言っています。「律法全体と諸々の預言は、この二つの掟に掛かっている[6]」と。



[1] Lc.10,25-37.

[2] Lc.10,25.

[3] Lc.10,27; cf.Dt.6,5; Lv.19,18.

[4] Lc.10,28; cf..Lv.18,5.

[5] Dt.6,4-5.

[6] Mt.22,40.

 

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