第四講話

「ザカリア、あなたは恐れることはない」と書かれていることから、ヨハネについて、「彼はエリアの霊と力において彼の前に先立つだろう」と言っている箇所まで[1]

 ザカリアは、天使を見たとき、ひどく恐れました。実際、未知の現象が人間の眼差しに現れると、それは精神を混乱させ、魂を狼狽させるものです。ですから天使は、この人間の本性が何であるかを知っていて、先ずこの動揺を静めるために言います。「ザカリア、あなたは恐れることはない[2]」と。そして動転する彼を元気づけるために、新しい知らで喜ばせ、こう告げています。「あなたの祈りは聞き入れられた。あなたの妻エリサベツ男の子を産むでしょう。そしてあなたは、その子の名をヨハネと呼びなさい。彼は、あなたの喜び、歓喜となるでしょう[3]」と。義人がこの世に生まれ、この人生という競技場に入ったなら、その義人の誕生の奉仕者たちは喜び、悦に入るものです。これに対して悪しき生活の傾向を持っていて、いわば諸々の罰のゆえに矯正院に送られる人が生まれたなら、(その誕生の)奉仕者たちは狼狽し、落胆するものです[4]



[1] Lc.1,13-17.

[2] Lc.1,13.

[3] Lc.1,13-14.

[4] ここで、必然という意味での予定は示唆されていない。彼はそれに徹底的に反対する。ここでは、人間の自由意志を許容する神の予知と摂理が前提になっている。

 

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