第八講話

「私の魂は主をあがめます」と書かれていることから、「主を畏れる者に力ある業をなさった」と言っている箇所まで[1]

 ヨハネに先立ってエリサベツは預言します。主なる救い主の誕生に先立ってマリアは預言します。罪が女性から始まり、男性にまで及んだように、救いの元は、女性たちから始まりました。それは、他の女性たちも、聖の弱さを脇において、聖なる女性たちの生活と振る舞い、特にいま福音書が描いている聖なる女性たちの生活と振る舞いを模倣するようになるためです。では私たちは、乙女の託宣を考察してみましょう。彼女は言います。「私の魂は主をあがめ、私の霊は私の救い主である神に(喜び)おどります[2]」。二つのもの、すなわち魂と霊が、二重の賛美にかかわります[3]。魂は主をほめたたえ、霊は神をほめたたえます。しかしそれは、主の賛美と神の賛美がそれぞれ異なるからではありません。神である方は主でもあり、主である方は神でもあるからです。



[1] Lc.1,46-51.

[2] Lc.1,47.

[3] Cf.Hom.Gn.I,11(SC 7, 85):「私たちの内なる人は、霊と魂から成り立ちます」。

 

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