ルカによる福音(ギリシア語断片)

断片1(1講話3)

(a)  人間の分際、神の教えと諸々の言葉を書き記すことは度を越えた試みですから、当然のことながら(ルカは)、その序文で言い訳をしています。

(b)  彼は単に信じられた諸々の事柄を語ったのではなく、「確実に知られた諸々の事柄」を語りました。それゆえ彼は、言われた諸々の事柄の不可侵性を証ししています。

(c)   彼は、諸々の事実[1]を語っています。なぜならイエスは、諸々の異端の弟子たちが言うように、ご自分の受肉による臨在を外見的に演じたのではなく[2]、まさに「真理」である方として、真理のために諸々の事実を成し遂げたからです。

 



[1] 「諸々の事実」:言語pra,gmataある。これを直訳すれば、「為された諸々の事柄」。

[2] これは、受肉の事実を否定するグノーシス派の見解である(キリスト仮現説)