巻断片

 私は伝承の中で、四つの福音――それらだけが、天の下の神の教会の中で異論がない――に関して次のことを学んだ:すなわち、『マタイによる福音』が一番目に書かれた。彼はかつて徴税請負人であったが、後にイエス・キリストの使徒になった。彼は、ユダヤ教から(改宗して、キリスト教を)信じた人たちのために、ヘブライ語の諸々の文字によって編纂された形で、それを公にした。『マルコによる福音』が二番目に書かれた。彼は、ペトロが彼に指示したとおりに、それを作成した。(ペトロは)、公同書簡の中で次のような諸々の言葉を通して、彼が息子でもあることを告白している。彼は、「(あなた方と)共に選ばれたバビロンの中の教会と私の息子マルコとが、あなた方に挨拶します[1]」と言っている。『ルカによる福音』は三番目に書かれた。それは、パウロによって賞賛された福音で、(ルカは)異邦人たちから(キリスト教を信じた)人たちのためにそれを作成した。それらすべての次に、『ヨハネによる福音』が書かれた。以上のことを私を学んだ[2]



[1] 1P.5,13.

[2] ギリシア語原文は、エウセビオスの『教会史』第625に保存されている。

 

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