オリゲネス

マタイによる福音注解

第11巻

( )は訳者による挿入

最終更新日13/01/15


 

 「夕暮れになったので、彼の弟子たちは彼に近づいた[1]」――夕暮れとは、すなわち、代の終わりであり、その時において、『ヨハネの手紙』にある「最後の時期である[2]」という言葉をまさに言うことができる。み言葉が行おうとすることがまだ理解しなかった彼らは、彼に、「この場所は荒れています[3]」と言った。なぜなら彼らは、多くの人たちの内に、神的な律法とみ言葉の不在を見ていたからである。また彼らは、「時間も既に経ちました[4]」と言っている――あたかも、律法と預言者たちの適時が過ぎ去ってしまったかのように。おそらく彼らは、ヨハネの頭が切り落とされ、ヨハネまであった律法と預言者たちが終わったので[5]、その言葉を比喩的な意味で語ったのだろう。すなわち彼らは、次のように言った:「時間も経ちました」。そして、食べ物もありません。なぜならあなたに従って荒れ野にいた人たちが律法と預言者たちに仕えるための食べ物の適時ももはや現存しないからです、と。さらに弟子たちは言います:「そこであなたは、彼らを解散してください[6]」――各人が、諸々の食べ物を諸々の町から買うことができないなら、いっそう不名誉な諸々の場所である諸々の村から諸々の食料を買うために、と。弟子たちがそれらの言葉を主張したのは、律法の文字が破棄され、諸々の預言が止んだ後、尋常ならざる新しい諸々の食べ物が群衆たちによって発見されるのを諦めたからである。しかしあなたは、イエスが弟子たちに何と答えているか見るべきである。彼はほとんど叫び、次のように明瞭に言っている:あなた方は次のように憶測している;もしも多くの群衆が、諸々の食べ物を求めて私から立ち去るなら、彼らは、私の許においてよりも諸々の村の中に、私のところに留まっているときよりも、人間たち――町民たちでなく、村人たち――の諸々の集団の中にそれらを見出すだろう、と。しかし私は、あなた方に次のように宣言する:彼らが求めているとあなた方が憶測しているものを、彼らは求めていない。なぜなら彼らは立ち去る必要がないからである。彼らが必要としていないとあなた方が思っているもの――すなわち、彼らを養うことのできないとあなた方が思っている私――、それを彼らは、あなた方の期待に反して必要としている。したがって、私があなた方を養育して、(食べ物を)必要とする人たちに理性的な食べ物を与えることができるようにしたのであるから、あなた方が、私に従ってきた群衆たちのために食べる物を与えなさい[7]。なぜならあなた方は、群衆たちに食べる物を与えるための力を私から得て持っているからである。もしもあなた方がその力に気づいているなら、あなた方は、私が彼らをはるかによく養うことができると理解するだろうし、「あなたは、群衆たちを解散してください――彼らが諸々の町の中に立ち去って、自分たちのために諸々の食べ物を買うために[8]」と言わなかっただろう。



[1] Mt.14,15.

[2] 1Jn.2,18.1

[3] Mt.14,15.

[4] Mt.14,15.

[5] Cf.Lc.16,16.

[6] Mt.14,15.

[7] Mt.14,16.

[8] Mt.14,15.

 

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