したがって、「律法は将来の諸々の善い事柄の影を持つ[1]」と書かれているのを私たちが読んでも、定めや諸々の正義や諸々の裁き――この箇所はそれらに関して書かれたのではありません――が、「将来の諸々の善い事柄の影」であると、ただちに信じられてはなりません。また、私たちが多くの(言葉の)中から一つを一例として取り上げれば、これは過越の定めであると書かれておらず、「これは過越の律法である[2]」と書かれています。しかも、「律法は、将来の諸々の善い事柄の影で」もありますから、過越の律法は、疑いもなく、将来の諸々の善い事柄の影です。



[1] He.10,1. なお、訳文中に頻出する「律法」も「法律」も、その原語は、ラテン語のlexである。

[2] Ex.12,43.

 

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