14 たとえば、エジプトには、呪術師たちや魔術師たちがいました。人間たちの誰が、身体の力によって枝を蛇に変えることができますか。このことは彼らによって為されたと(聖文書で)述べられています。あるいは誰が、身体の諸々の力によって水を血に変えることができるでしょうか。しかし、エジプト人たちの呪術師たちや魔術師たちはそれを行いました[1]。実際には、モーセが(彼らにより)先にそれを行っています[2]。ところがエジプトの王は、それが、人間たちの間にある諸々の言葉の或る技術によって行われ得ることを知っていたので、モーセもそれを神の力によってではなく、魔術によって行ったと考えた。そして王は、モーセが、人間的な技術によって行ったことを神の力によって為されたと装ったと考えた。王は直ちに、「エジプト人たちの呪術師たちと魔術師たちを招集しました[3]」。神の力によって働く彼[4]と、悪霊たちに頼る彼らとの間で競争が行われた。敵対する力は、神の力が行ったのと同じような仕方で行い、枝を蛇にしました。しかし、神の力によって作られた蛇は、魔術が諸々の枝から変えたすべての蛇をむさぼり食い、飲み込みました[5]。実に、悪霊的な力は、善から作った悪を善に戻すことができませんでした。それは、枝から蛇を作ることができましたが、蛇から枝を回復させることはできませんでした。それで、神の力によって蛇に変えられた枝によってすべて()が食い尽くされました。しかしその後それは、神的な力によってその本性に戻されました[6]――本性の主が認められるために。



[1] Cf.Ex.7,11.22.

[2] Cf.Ex.7,10,20.

[3] Cf.Ex.7,11.

[4] 「彼」は聖書本文では、モーセではなく、彼に同行したアロンである。

[5] Cf.Ex.7,12.

[6] 蛇になったアロンの杖が、もとの杖に戻ったことをさす。

 

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